陛下の素肌に我慢ならない(@英雄2)↑





他の誰でもなくこの私が。
敵軍としてレオくんとティータさんには会いました、スピカさんとギャギャスはまだ。
うーん、寂しいなあやっぱり、昨日まで優しかったのに´・ω・`しゅん
まあママがご機嫌なのでよしとしますが、あと陛下の素肌。
せっかくなのでズバコロしてほしいですはやく



ネフィ→アルレオ



フェルトに言いくるめられた自覚はあった。
地下のワインくらいなら、在処さえわかれば正直いつだって持ち出せる自信はあったのだし。
けれども、あっさり寝返ったのは、やはりどこか、かつての居場所に戻りたいという思いがあったからだろう。
アルケインは、時空間魔法で声をかけにきたかと思えば同様に一人で去っていったフェルトの居なくなったあとを見つめながら思った。
ところで元ネクロス城で元マギア城はいまやオルガ解放戦線の手に落ち、レオの軍が先日までいたはずだがと考えながら城へ向かおうと支度を始めた。
己の軍は、きっと気付けばついてくるだろうと、楽観的に考えふらりと野営地をあとにする。
城に近付くにつれ、様子がおかしいことに気付き、首を傾げる。
争っているというだけとは思えないほどひどく騒がしく、そして魔道力が溢れかえっていた。
「フェルトさんは一体、なにをしでかしたのでしょうねぇ」
ふう、とため息を零し、中の様子を見に城へ乗り込んだ。

中では、レオ率いるオルガ軍と、ギアマンテ率いるマギア軍、そして、少数勢力ではあるが、どちらにも属さない、今まではマギア軍にいたのであろう兵たちが争っていた。
その少数勢力を率いていたのは――
「陛、下…?」
容姿や雰囲気は変わっていたが、溢れ出す魔道力は間違いなくかつて仕えた国王のもので。
半ば確信して、アルケインは声を上げた。
「ネフィリム陛下!」
ネフィリムもそれに気付いたのか、アルケインのほうを振り返る。
「アルケイン!」
アルケインも多少容姿は変わっていたが、ネフィリムは何一つ疑いもせず19歳の少年らしく嬉しげに笑みを浮かべて地面を蹴ると、勢いのまま、舞い降りるようにアルケインのもとに飛びだしていった。
「えっ、ちょ、うわあっ」
飛び込んできたネフィリムを、アルケインは驚きながらも両の腕でしっかりと抱き留め、変わりませんねと苦笑する。
そんなアルケインをネフィリムはじっと見つめ、なんですかそんな…とアルケインが少したじろいだところで、ネフィリムは口を開いた。
「貴様も変わらないな」
「え、そうですか?」
「ワインにつられてきたと、さっきフェルトから聞いたぞ」
ふっ、と口元を歪めてネフィリムが笑うと、ああ…とアルケインはまた苦笑を浮かべた。
別に、ワインだけが目的だったわけじゃないんだけどなと思いながらも、アルケインは口を噤んだ。
その後ろ姿を見つけたレオが、アルケインに声をかける。
「アルケイン!丁度よかった、増援を頼め、る…か……?」
「あ……」
しかし、アルケインに抱き留められたネフィリムを見るなりレオの言葉は勢いを失い、アルケインもその様子に、気まずげに声を漏らした。
「お、まえ…」
呆然とアルケインを見つめるレオの手から、剣が滑り落ちそうになる。
「あ、あ…、あぁ、ああ!……ッ!うっ、わ、あああアアッ!!!」
落ちる前に、事態を理解したレオは、理解したくないと首を横に振りながら剣を握り直し、力任せにアルケインに向けて振り下ろした。
アルケインは避けられるはずのそれを避けることはせず、ただ、ネフィリムを庇っただけだった。
「なに、やって」
アルケインがそう簡単に死ねる体ではないとわかっていれど、ネフィリムが動揺しがちにアルケインを見上げる。
「陛下、僕は話をする方の順番を、間違えたようです」
そう言って苦笑するアルケインに、ネフィリムは怪訝な顔をした。
そしてすぐに理解したのか、そうか、と目を伏せる。
「ですから僕は、彼と先に話をつけてきますので。陛下は、軍の方へ戻ってください。兵も貴方を待っております」
「……ひとつ、聞かせろ」
ほら、と手を離し、行ってくださいと背中を押さんばかりのアルケインに、顔を伏せてネフィリムは問う。
「貴様は、余の元へ戻ってくるのか」
「もちろんです陛下、貴方のお望みのままに」
答えながら、アルケインは浅く屈みネフィリムの手を恭しくとり、最後に手の甲へ口付けを落とした。
その答えに満足したようにネフィリムは顔を上げると、常の通り口元に傲慢な笑みを湛えてアルケインを見やった。
「絶対だぞ」
「はい」
そのやりとりを最後に、前線へ戻っていくネフィリムを見送ったアルケインは、先程斬りつけた勢いで地面に叩きつけた剣を持ち上げもせずにただ俯いていたレオを振り返る。


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