しにたがり(@オリジナル)





「ああ貴方が僕を殺してくれる人ですね!やっと見つけた!」
「はあ?」
細身で、長身の男に手を取られ、きらきらとした目で見つめられ、俺は迷惑感を全面に押し出して男を見上げた。
往来の真ん中だ、さっさとお引き取り願いたい。
「そんな顔しても僕にはわかります、貴方は僕を殺してくれる運命の相手!」
「……」
変な人に絡まれないよう、地味に生きてきたつもりだったのに。
一生の不覚、まさかよりによってこんな電波さんに掴まってしまうなんて。
「あの、人違いじゃ、ないですか」
「運命に人違いも何もありませんよ!一目惚れに人違いがありますか、ないでしょう。そういうことです」
ダメだこいつ、会話できねぇ!


pRev | NeXT