二股ケイン(@英雄2)





いや、別に二股でもないけど。時代を超えて金髪騎士と。
アルニル前提アルレオ





「貴方は?」
こんなところで、何を。
広大な土地、周りは荒れ果てているというのに、そこだけは緑が生い茂っていた。
その中に人影を見つけたレオは、その人物に問いかける。
「えっ、あ、どなたでしょう」
葉のひとつひとつを慈しむように、しゃがみこんで視線を落としていたその人は、突然かけられた声に驚いたように顔を上げて、レオを振り返った。
相手の反応に、申し訳ないことをしたと眉尻を下げ、いや、たまたま見かけたものでと弁明する。
目が合った瞬間――とはいえ相手は仮面をしていたから本当に目が合ったかは定かではないが――、相手はぴたりと動きを止めた。
「あの…」
「あ、いや。すみません、知り合いに似ていたもので」
生い茂る葉の陰でその人物は苦笑を浮かべる。
「あ、ああ。そう、ですか」
レオが困惑気味に答えると、相手はすいと立ち上がってレオに近づく。
太陽の下に居るわりに血色の悪い、それなりに若そうな長身の男だった。
自分よりも幾分か高い位置にある顔を、レオは見上げる。
「皇国軍の方ではないようですね」
自らの顎に手を当て、思案げに首を傾げてレオを見下ろす男に、レオは、値踏みされているかのような居心地の悪さを覚えて視線を伏せる。
それに気付いた男は、ああすみませんともう一度謝り、次いで口元を緩めて穏やかに笑った。
「僕はアルケインと言います。君の名前、聞いてもよろしいでしょうか」
「レオ。コード・レオです」
男――アルケインが何を考えているのかはわからなかったが、敵ではなさそうだと判断して、レオは答える。
「レオ……」
アルケインは小さく呟くと、寂しげな表情を浮かべた。
不思議そうにレオが首を傾げると、いえなんでもないんですと、アルケインは明らかに何かありそうに、しかし小さく首を横に振った。
アルケインを見上げるレオが、眉を顰める。
「そんな顔、しないでください」


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