(@英雄2)





オルガ解放戦線設立前後





普段はその歳に似付かわしくない表情を貼り付け―それはまるで感情をどこかに置いてきてしまったかのように―、凛として目的のために自らを鍛え上げようとしている少年が。
初めて、アルケインに涙を見せたのは、出会い頭に襲ってきたマギア兵と思しき雑兵を、握りしめていた剣で一閃、音もなく肉塊にした日の夜であった。
兵士を斬り捨てたその瞬間の無感情且つ無感動な瞳は、まるでかつてその剣を振るっていた英雄獅子のそれで、その場に居合わせていたアルケインは感心したものであったが。
そろそろ深夜とも呼べようかという頃、アルケインの部屋を訪ねてきた少年――レオは、部屋の主と目を合わせることもないまま、その胸に顔を埋めた。
「!? …レオ、くん…?」



結局はただの、人殺しじゃないか。
スピカは強いな。
そうでしょうか、彼女だって。


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