忘れることは、覚えることより、難しい。はあ、と息をついた人形使いは、背後に現れた人の気配に、ひどく怠そうに振り返った。「アンタは、どうしてこんなときに」「そう言われましてもねぇ」貴方の事情なんて知りませんし、把握してたらしてたで気色悪がるでしょう。闇の中でそう答える人物に、人形使いは、そりゃあそうだ。と頷く。「ですから、そんな言い草しないでください」「へいへい。で?」