01
「これ以上逃げても無駄なのはわかるだろう?そろそろ諦めたらどうだ。」
聞こえた声に背筋が凍る。
愉しげで、しかしとても冷たい声。
嫌な声。
捕まるものかと飛ぶけれど、頭の片隅で冷静な自分が捕まるのも時間の問題だと囁く。
傷だらけの身体。
感覚のなくなった手足。
霞む視界。
とうに限界は超えていた。
「(っ、それでも!)」
見付けなければならない。
皆の想いが聞こえる人。
皆の想いを聞いてくれる人。
「(お願い、誰か、)」
この声を聞いて―――
*
誰かに呼ばれた気がした。
しかし周囲に人影はない。
「気のせい?」
それにしてはやけにはっきり・・・まあいいか。
そんなことより今日は新作ゲームの発売日だひゃっほーう!
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