ありがとうございましたー、と威勢のいい挨拶を背中で受けながらコンビニを出た。両手には、大量のお菓子が詰め込まれたビニール袋。午後6時半過ぎというのに、まだ少し街は明るい。
「……さてさて、妙ちゃん家に向かいましょうかね。」
今日は月に一度の女子会in妙ちゃん家。といっても、ただ寝間着でお菓子をつまみながら夜通しガールズトークという名の毒吐き会だったり。いつまでも給料出さない社長の話とか、ゴリラや過保護なストーカーがうざい話とか、ドSな同僚に滅んでほしい話とか、そんな感じ。
毒って、普段から無意識のうちに溜めてしまってるものらしいわ。だからこそ、どこかで吐き出さないとね。人生もダイエットもデトックスが大事なのよ。
いつだったか、妙ちゃんがそんなこと言ってたっけな。なーんてひとり思い出し笑い(っていってもクスッくらい)してると、キモ、と後ろから脳天に手刀が降り下ろされた。
「痛ッ!何してくれてんのもう!」
「ひとりで笑ってる怪しい人物を見掛けたから職質しようかと思いましてねィ。そしたらおっかなびっくり見知った顔だったのでどうしようかなァ〜」
「どうもしないで回れ右してそのまま屯所帰れ。つかなんでここいるのよ。」
「見回り中でさァ」
「嘘吐けここは見回りルートじゃないでしょ」
あら、ばれてやしたか、ととぼけながら、左手から袋をかっさらって、私の進行方向へ向かって歩きだした。
「ちょ、それ私のお菓子!」
「両手にこんな大量にぶら下げるモンじゃありませんぜ。まぁブクブクと肥太るには必要でしょうが」
「誰がメス豚だコラ」
まぁまぁ、どうせ姐さんとこ行くんだろィ?こっちも近藤さんの回収に行くとこだったんでねィ。
そうスタスタと歩いて行ってしまう彼の後を、置いてかれないように小走りで追いかける。
今日の女子会は、ドSな同僚がたまにみせる優しさが不器用だって話にしようか。
161009