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 久々に直接触れた妹は、とても柔らかくて温かい。身長は伸びたが、それでも私よりは小さい。洗剤の匂いは昔と同じで、ちょっと嬉しくなってしまう。

「大丈夫?けがはない?」
「おねえさまこそ…身体が少し冷たいです。温めないと」

 お互い満足いくまで確認をした。そして最後に微笑みあう。10年前から変わらない、私たち家族の習慣だ。
 姉妹の再会を喜んで、現実へと意識を戻す。ユニが笑顔で挨拶すれば、ボンゴレたちはポッと頬を赤く染める。…ふふ、可愛いだろう私の妹は?

「………ハハハッ、これは一本どころか二本ぐらいとられたよ、いやあびっくりしたなー」

 妹に劇薬を盛っておいて、よくそんなことが言える…とは言わなかった。言わずとも、入江君がすべて解説してくれた。そして、妹が自分が無事だった理由を簡潔に述べて、話は元に戻される。

「私はミルフィオーレファミリー・ブラックスペルのボスとして、ボンゴレとの再戦に賛成です」

 入江君と白蘭の約束が真実であることを告げるが、それもあえなく却下される。白蘭はどこまでも、ユニの介入を厭う。
 わかりました、とユニは返し、宣言する。

「では私は、ミルフィオーレファミリーを脱会します。――――沢田綱吉さん、お願いがあります。私を守ってください」

 ボンゴレが状況を飲み込めずに慌て始める。ユニが自分と、仲間のおしゃぶりを守ってほしいと懇願する。その過程で、ユニがアルコバレーノのボスたる象徴と、トゥリニセッテの運用特権、そして残してきた仲間の命と、切れるカードを全て切っていく。もう手札はない。
 白蘭の手が伸びる。妹の前に立って盾にならんとする。…分かっている、私では守れない。

「柚乃チャン、ユニを連れてこっちに来てくれれば、チョイスを再戦したっていい」
「交渉の条件としては最悪ですね」

 ボンゴレがこちらを、ユニを見る。そして。

「みんな!二人を守ろう!」

 そこからは地獄の鬼事になった。



 超炎リング転送システムで並盛町へと戻る。ボンゴレアジトへと逃げ込むが、私が服を着替える時間程度も猶予はなかった。アジトは爆破され、私たちは力の限り走って逃げる。そして行き着いた不動産屋で、何故か逃げ先に設定した不動産屋で、

「久しぶりじゃないか、お嬢さん」

夢で出会った腕時計の和服に出会った。
 訳が分からず呆然とする私に、そして不動屋さんのおばあちゃんのはずがおじさんだった故に混乱するボンゴレ達に、早く入んなさいと告げ、建屋に入る。ユニも知らない人ということ、何だか不思議な感じがすることが引っ掛かるが、私は助けてもらった経験のある身なので大人しく従う。
 暫くしてザクロという男が富士山まで飛んでいってしまい、別動隊の雲雀さんが一人倒したという時点で安全が確保された。
 じゃあ、と彼が立ち去ろうとしたところを呼び止める。

「あの…時計、すみません。壊しちゃって」

 我ながらもっといい声のかけ方があったと思う。しかし、私の能力はユニ以外知らないのであって、まだ下手に話さない方がいいことに変わりはない。それに、彼は分かるだろう。

「ああ、大丈夫大丈夫。効力は変わらないから。それに想定使用年数はもうとっくに過ぎていて、本当は途中で修繕に行く予定だったんだけど、君は丁寧に使ってくれるからいいかなって放っておいたんだ。だから、君は何も悪くないよ」

 もう必要もなくなったろう?と言われ、事実なので頷くしかない。えっと、川平のおじさん、あの、入江君がどういうことだ、と顔を向けてくるので、あんまり危ないことは言わないでほしい。

「お嬢さんにも君たちにも、一つ貸しだよ」

 じゃあね、運命の子。

 ぼそりと告げられた言葉に苦い顔をした。…入江君に見られたのは、失策だったと思うが、彼が何も聞いてこないのをいいことに、そのままにした。
 そう。あと少しだから、そのままにしてほしい。


さよならを後ろから数える