後書き
「振り向くな、振り向くな。後ろには夢がない」という詩をご存知でしょうか。寺山修司さんの詩の一つです。私はこれがとてもお気に入りで、最終話に少し変えつつ載せました。
ステインって、昔はヒーロー志してたんだよなぁ、人に優しくあろうとしてたんだよなあ……と考えていたのが多分きっかけです。ヒーローを志していたなら人助けするやろ!みたいな感じで、設定だけ書きなぐってネタ置き場に置いてました。それで意外と好きな設定になったので本編をプロットも書かず脳内で組み立てたまんま書き始めました。うーん、この。私の悪い癖なんですが、設定が割とふわっとしてるんですよね。追加で伏線張っちゃうから『いやこれ前の話書くときに思いついてろよ!!!』ってキレる事が多々あります。長編でも割とそうです。今回も夢主の"個性"がふわっとしてますね。自分の生成した宝石だけ操れる"個性"です。ただ操った事が両親の一件と路地裏でしかなかったのでかなりコントロールが効きません。無差別散弾銃かよ。あと伏線もなっちゃいませんね。もっと詳しく書くべきでした。けど5話で終わらせっぞ!!と息巻いていたのでしょうがないです。最終話メチャ長くなったけどしょうがないです。5話は無理があった。勉強になりました……。
組織のボス含め、夢主とお相手以外は出来るだけ名前を明かさないという個人ルールがあります。いやだってオリキャラ色強くなっちゃうじゃん?って感じです。あくまでこれは夢主とステ様の話なので……長編はやむおえず出てしまうかもしれませんが今後夢主以外のオリキャラの名前は出しません。てか考えてません。ボスの"個性"は酸素濃度を操る"個性"です。範囲が限定されています。過呼吸になるほどなのにステ様が立ち上がったり喋れたりするのおかしくない?と思われますが原作のステ様かなりタフネスじゃない?骨折れて顔焼かれてんのに脳無やっちまうんですよ?って感じでお願いします。ステ様の耐久性が桁外れだと思っていただければ。
本書はハッピーエンドじゃないとあらかじめ言っておきましたが、どうですこのメリバっぷり!お相手と結ばれないの話はハッピーエンドだとは思っていないのでこれはバッドエンドです。まあステ様についていくのも勿論バッドエンドなんですがね。悪い人に関わったら碌な事おきないなあ。夢主はこれから施設で暮らし、"個性"を隠しながら自分の罪の重さやあのひと時の幸せを噛み締めながら平凡な日常を過ごしていきます。ステ様が脱獄しようが何しようが彼と夢主が再開することはありません。あ、一応言いますが夢主は15歳ぐらいです。組織に攫われたのは11歳ぐらい。
このお話を書けば書くほど、ステインって救われないんだと感じます。善良なヒーローを自分の我儘を通すために殺した彼に救いなどないし、死んでからもおぞましい悪として延々と語り継がれ、最後は誰からも気に止められずに消えていく、緑谷を救けた事実もほとんどが知らないままに、彼は史上まれに見る悪として彼らの世界に刻まれるのでしょう。はー、つら。
……そんな稀代の殺人鬼、英雄の血に染まった男ステインに救けられた宝石を生む少女の話はこれにて幕引きです。長く更新が止まっていた時期もありますが、感想がとても励みになりました。ここまで読んで下さり本当にありがとうございました。
2017.7/19