レメンブランス | ナノ

昨夜は色々な事があって、すぐには眠れなくて、結局3時間ほど寝て大学へ向かった。

その途中、携帯が震えた。

確認するとそれは知らないメールアドレスからで。
けれど不審には思わなかった。何故なら心当たりがあったから。

開いてみてそれは核心に。

知らないメールアドレスは昨日の彼だった。


今世間を騒がす大泥棒『ブラックフォックス』の、メンバーのひとり。

更科さん。










私は昨夜星を見る為、小高い場所にある公園に行った。
そこで出会ったのが警察から逃げている『ブラックフォックス』のメンバーである茶髪の彼だった。さっきメールをくれた人。

警察から逃げる彼を助けた…というか私が勝手にお節介をしただけなのだけども、それがキッカケで今世間を騒がす怪盗の顔を拝んでしまったが故に、警察や周りの人間にブラックフォックスの正体を口外したりしないよう見張る為に更科さんが私の監視役になったのだ。


……と言っても私は特に誰かに口外するつもりもマスコミに売るつもりもないので監視なんかしなくても、と思うのだけれどもやはり昨日会ったばかりの人間を信用出来るはずもない事は私も分かっているので渋る事なくOKした。

ブラックフォックスの方々も悪い人には見えなかった。むしろ好感を持てるくらい優しい方達だった。



おっと。とりあえず返信をしなければ。

『おはよう。更科です。昨日はお世話様。今日から君の事を監視する事になるけど、よろしくね。あ、勿論部屋ののぞき見とか着替えまでは見ないから安心してね(^^)』

『おはようございます。日下部です。どうぞお気の済むまで監視なさってくださいませ。』




送信ボタンを押し、きちんと送信されたか確認してから携帯をパタンと閉じ、コートのポケットに突っ込んでからふと気が付いた。


「そういえば"更科"って、星子と同じ名字……?」


星子や他のブラックフォックスのメンバーは『ひろ』と呼んでいた。もしかして星子の親戚か何かなのだろうか。


「…………」


暫く考えて、



「……まあ、いいか」



そう完結させて私は授業へと行くべく構内へ足を進めた。








(まだ、物語ははじまったばかり)
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