※藤堂凹助の性格捏造・死ネタ有り「真選組一番隊長として……てめーらに最後の教えを授けてやらァ」
警報により赤く染められた車内。
そこには鬼がいた。
七世を賭けて誓ひてし
伊東の様子がおかしい。それを沖田に知らせたのは山崎だった。
沖田とて奴が一筋縄ではいかない存在だとは分かっている。もし裏切るようなことがあれば、その時はその時で斬ればいい。そう告げると、山崎は眉をひそめた。
「それが、そう悠長には言ってられないようでして……」
山崎が言うには、土方の様子がここ最近おかしいらしい。
「なんでィ、あの人がおかしいのはいつものことだろィ」
「いや、そりゃ時々とんでもないことしでかしますけど。って、そうじゃなくって」
まるで別人のみたいなんです。
山崎は声を潜めて沖田に告げた。
「それに、沖田隊長なら副長から離反してもおかしくありませんし」
「……俺に何をしろってんでィ」 周りくどい言い方にイラつき、確信をつく。すると山崎はバツの悪そうな顔で要件を告げた。
「伊東側に付いてほしいんです」
「要するにスパイってことか」
ヤローの味方なんてごめんだぜィ。そう言って立ち去ろうとすると、山崎は違うとすがりついて来た。
「今度の隊士募集あるじゃないですか。あれなんですけどね、自分が言い出したことだからって、伊東さんがメンバーに決まったんですよ。しかも連れていく面子もあいつが選んでます。なのに、局長は真選組の顔だからってごり押ししてて。局長も局長で、故郷に凱旋だって乗り気だし……」
「藤堂も行くんじゃなかったのかィ」
道場時代からの仲間の名を出すと、途端に山崎が口ごもった。
「ですけど……伊東さんを連れてきたのは、その……藤堂隊長、ですよね」
言われて初めて、そういえばそうだったと思い出した。
「副長からも、篠原さん共々気をつけるように言われてるんですよ」
申し訳なさそうに背を丸める山崎に、近藤さんのためだしねィと沖田は引き受けた。
漠然とだが、何かが起こる、そんな気がしていた。