最愛


夜中、なんだか寒くて目が覚めた。
それもそのはずで、隣にこんもりと山になった布団がある。
その中心には、きっとひめが丸まって寝てんだろう。
「…俺の分まで取ってんじゃねーよ」
ばっと布団を捲れば、ちょこんと見えたのはシッフィーのぬいぐるみの頭。

そしてその隣には、シッフィーを抱いて眠っているひめ。

「………」
俺のシッフィーをお前が抱くなと色々言いたいことはあったが、その場で少し考えた末、俺は黙って携帯を探すことにした。
ぎし、とベッドの軋む音にすら気を配り、テーブルへと手を伸ばす。
暗い中、音をたてずに手探りで携帯を探せば、ふと指に触れた硬い感触に、思わず口元が緩んだ。

カメラ機能を立ち上げ、寝てるひめにそっと近づく。
起きる様子はなさそうで、その無防備な寝顔にレンズを向けた。

…までは、よかった。

「…暗ぇ…」
暗視機能を付けとけばよかった、と今さら後悔する。
ライトを点けるわけにもいかねーし…
「…んー…」
「…!」
もぞもぞと身じろぎしたひめは、目を開ける様子はないものの、さらにぎゅっとシッフィーを抱きしめた。
「……」
やけにだぼついた上着は、さっきまで俺が着てたやつで。
わざとやってんじゃねーのかと思うくらいにピンポイントで心臓をひと突きされた俺は、携帯を元の場所に戻し、ひとつ深呼吸をしてからひめの隣に横になった。

「…布団返せ」
「んー」
「んーじゃねーよ。さみーんだよ」
布団を取り戻し、首元まで掛かるように潜る。
寝てるくせに眉間に皺を寄せ、明らかな不満を表すひめを、俺はいつになく優しく抱き寄せた。
「…お前は、俺があっためてやるから。布団は返せ」
そう言うと、眉間にあった皺がなくなり、口元を緩め、シッフィーに頬を寄せる。
「そっちじゃねーよ」
こいつの腕の中にいるシッフィーを取り上げようとするも、さらに抱く力が強くなって、俺は諦めざるをえなかった。
「…覚えてろ」
そう言いつつも、ひめの髪に触れる俺の手は、自分でも信じられないくらいに優しい。

…壊れんじゃねーかって、たぶんちょっと不安だから。

「お前、レアな俺見すぎ」

そうぼやいて、シッフィーを抱くひめを抱きしめる。

「…あったけ」




好きなもの×好きな人
+俺の服

イコール、
最愛




(どうしていきなりお昼寝?)
(ねみーから)
(今日はちゃんと寝れたじゃないですか)
(いーんだよ。ほら)
(シッフィー?)
(…貸してやる)


end


クリスマスのたっくんに頭パーンてなった!
依存型素敵!


20111230






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -