人でよかった


いっそ、人形として、

生まれればよかったのにと、

思っていた。

でも、そう言ったら、

なんだか泣きそうな顔をして、

俺の手を、

あったかくて、

やわらかくてよかった、と、

強く強く、握った。


どうすればいいんだろう。

こんなとき。


他人の気持ちが、

あんたの気持ちが、

俺にはわからない。


どうして泣きそうなのか、

強く手を握るのか、

いちいち理由を聞いたら、

あんたは呆れるんだろうか。


人間として、

何か足りない俺に、

あんたは呆れるんだろうか。


だけど、


人の気持ちを、

あんたの気持ちを、

知りたいともがく俺は、


なんだか人間みたいだ。


あんたといると、

俺は人間になれている。


そう言うと、

あんたは笑った。


それを嬉しいと思う俺は、

誰よりも人間であると思う。

ああ、

あんたと同じ、




人でよかった。




end



初めての四季くん。
ドラマCD聞きましたー



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