下の続きだったり。
※承花要素がミジンコレベルであります。
「……承太郎、嘘だろ?こいつを欺くための、君の戦略だろ?」
声を震わせながら花京院が言う。
「肉の芽じゃ…。承太郎は、操られておる。ワシの、ワシの祖父によって……」
その通りだ。いち早く気づいたジョセフの察知能力の高さは、今まで刃を潜り抜けた際に培った経験によるものである。しかしジョナサンはニッコリと笑い、承太郎に近付く。
「ジョセフ正解!やっぱり君は凄いね!」
でも、見抜けなかった事があるよ。と言いながら、承太郎の元へと着く。
「君たちのいう通り、承太郎は今僕の命令を、聞くだけの肉人形。でも違う事が1つある」
そう言うなり、承太郎に触れるだけのキスをする。その時に花京院の握りしめた拳がぴくりと動く。
「―――この僕を、心のそこから愛してくれてる」
そう言ったジョナサンの首を、花京院がエメラルド・スプラッシュで掴む。
「落ち着け花京院!」
「っぐぅっ……み、ぐるし、いよ……し、っとなんて……」
嫉妬。その言葉に動揺し、ジョナサンを離してしまう。床に倒れ付し、ゼエゼエと息を吸うジョナサンを、戸惑いが籠った目で見つめる。
―――僕は承太郎が好きなのか?
そんな問いが花京院に思い浮かぶ。
その隙を突いたのだ。
ジョナサンがあっという間に間合いをつめ、しまったと思った時はもう遅かった。
ジョナサンが花京院の脇腹に回し蹴りをする。すると、壁際までいとも簡単に吹っ飛ばされる。
「油断大敵、だよ」
ハーミットパープルを出そうとしていたジョセフには、鳩尾を狙ったパンチが入る。鮮やかな攻撃に、二人共床に膝をつく。
「僕は嫌いだよ、話を聞かない人は。承太郎、やっちゃって」
「やれやれだぜ」
これまでの戦いで十分に弱り、疲れていたためか、二人は承太郎に勝てなかった。
ジョナサンは鼻歌でも歌う様に、血にまみれた承太郎のもとへ歩み寄る。そして返り血が伝っている頬から、赤い舌を出し、舐めとる。ぎゅっと承太郎を抱きしめると、ジョナサンはこう言った。
「君の事大好きだよ、お疲れ様」
「俺も愛してるぜ」
ぐちゃり。ぐちゃり。
軽やかにまだ温かい花京院の血やらで染まったカーペットやらを歩く。汚くないのかと思うが、そんな小さい事は無視をして歩みを続ける。
「ジョセフ。君は僕のお気に入りだよ」
かぱり。100年たった今でも懐かしいとさえ感じる石仮面を、虫の息のジョセフにはめる。牙で指を傷つけ、石仮面のヒビをなぞるように血をつける。すると痛そうな音を立てて、骨針が頭に突き刺さる。
「さあ、起きてよ。僕の血を飲んでごらん?承太郎、もし危なかったら、ジョセフを引き剥がしといてね」
「わかったぜ」
まるで脊椎の無い動物が、立ち上がる様に見えた。同時に、用を果たした石仮面がぱらぱらと崩れる。
それと同時に、ジョセフがジョナサンの首もとに噛みつく。
――指で吸えるのに
ジョナサンは吸われる時に伴うゆったりとした快楽に、微睡みながらそう思った。その後、ジョセフが離れると、すっかり若返っていた。
「じーちゃんの血、うまかったぜ」
嬉しそうに笑うジョセフの目は、赤々としていた。