来神時代


今日一日の授業も全て終り、帰りにある10分程度のHRも終わると、生徒達は部活へ行く者や友達と談笑しながらなど様々にぞろぞろと教室から出ていく
そんな中、平和島静雄は一人になっても何をするでもなく椅子に座り窓の外を眺めている
12月になり木の枝には数える位の葉っぱしかついておらず、その葉っぱもはらりと枝から落ちるのを見て少し切なくなる

「おせぇな…」

呟いたとほぼ同時にガラリと教室のドア開いた

「よっかたー、遅くなっちゃったから帰えちゃったかと思ったよ」
「手前が一緒に帰るって言ったんだろうがよ」
「そうだね、待っててくれてありがとう、シズちゃん」
「っん、む」

静雄が残っていたのは隣のクラスの折原臨也を待っていたからだった
二人は恋人関係にあるがその事を知る者は友人と呼べる門田京平と岸谷新羅だけである

臨也は自分を見上げる静雄に軽くキスを落とすと顔を赤くし下を向く
そんな恋人の仕草に心の底から愛を感じた
付き合って3ヶ月とそれなりに経つのに今でもキスをした時の初々しい反応が臨也は大好きでつい苛めたくなってしまう

「シズちゃん?顔真っ赤だよ?そんなにキスされたの嬉しいの?」
「うるせぇよ、馬鹿」
「照れてるーかわいー」
「からかってんじゃねぇ」
「本当に可愛いと思ってるんだよ?」
「…臨也」
「なぁに?」
「…もう一回しろ」
「え?もう一回って…」
「だ、だから、もう一回キスしろって言ってんだよ」
「シズちゃん、すっごく可愛いっ!!可愛いすぎ!!!!」
「うわっ、!んっふ、っ、は、はぅむっ、ん……ん、んっいざっはっ、んっもう、やめ、んっふはぅ、苦しっは、もうやめろ!!」
「あっ、もうっ我儘だなー」

思いもしない静雄の誘いに舞い上がり何度も角度を変え舌を絡み合わせ深くキスすると苦しいと肩を押され剥がされてしまった
だが、臨也は満足そうな笑みを浮かべ悪態を吐きながら静雄の頭を撫でる

「そんなことよりもう帰るぞ」
「そうだね、ってかマフラーとか持ってきてないの?」
「あ?持ってねぇよ、そんなの」
「いくらなんでも、寒いよ!!俺のマフラー貸してあげる」
「い、いらねぇよ、自分で使え」

座っている静雄に無理矢理、巻こうとすると静雄は立ち上がって手で押し返す

「シズちゃんが風邪ひいたらいやだもん!お願いだから巻いて」
「でも、そしたら臨也が…」
「俺はコート着て来てるから大丈夫!!」

そういうとダッフルコートを静雄に見せてにっこりと笑う

「だから、ね?」
「わかった、それなら、借りる」
「うん!じゃあ、俺巻いてあげるから」
「自分で巻け「いいから!シズちゃんどうせ下手くそだから俺がやってあげる」

渋々従う静雄の首に隙間が無いように巻いていく

「暖かいでしょ?」
「うん、…ありがとな」
「うん!」

二人は教室から出ると靴を履き替え外に出た
ひゅっと冷たい風が吹き二人とも身体を縮こませる

「寒いねー」
「やっぱり、マフラー…」
「いいって言ってんじゃん!!取ったら怒るからね」
「…わかった」
「あっ!」
「な、なんだよ、急に」
「シズちゃんのマフラー買いに行こうよ!!」
「今からか?」
「うん!だめ?」
「いや、いいけど、今日、金もってきてねぇ」
「俺が買ってあげるからいいの」
「でも、」
「でもじゃない!」

何だか、今日は臨也に押されてる気がする…あ、いつもの事か、など一人で考えていた
すると、不意に右手を引っ張られ指を絡ませるように握られたかと思うと臨也のコートの左ポケットの中に突っ込まれる

「お、おいっ臨也っ、」
「ん?あぁ、こうするともっと暖かいね」
「でも、こんな人混みでっ知り合いにでも見られたりしたらっ…」
「したら、何?」
「え、いや、だって」
「別に関係ないよ、そんなの」
「臨也っ…」
「でも、シズちゃんが嫌だっていうなら離すよ」
「い、嫌じゃねぇ、嫌じゃねぇから」

離すな、というように慌てて静雄はポケットの中の手に力を入れて握りかえす

「離さないよ、シズちゃんまじ可愛い」
「うるせぇ」
「あ!あの店見てみようよ」
「わっ、いきなり走んな」

手袋やマフラー、耳あてなどつまり冬に使う防寒具が売っている店を見つけると臨也は走り出した

「シズちゃんっ!色んなのが売ってるねぇ」
「本当だな」
「何色がいい?」
「別にどんなんでも変わんねぇよ」
「えー、せっかく買うんだから気に入ったのがいーじゃん」

色んな種類のマフラーを手に取って選んでくれている臨也の横顔を見て嬉しくなった
にしてもこういう店は女性客の方が多く、回りを見渡してもほとんど女ばっかりだ
そんな事を思いながら辺りを見ていると3人の女子高生らしき人がひそひそとこちらを見ながら話しているのに気づいた
静雄はあまり見ないようにしながら女子高生達の会話に集中し耳を傾けると、どうやら臨也の事をかっこいいだの綺麗だのと言っていて話し掛けようかどうか迷っているようだった

静雄は無意識に繋がっている手に力が込めてしまい臨也は不思議に思い静雄の方に振り返る

「シズちゃん?どうしたの?」
「俺、臨也のマフラーが欲しい」
「え?俺のってシズちゃんが今、巻いてるやつ?」
「うん」

自分で自分の発言に驚いたが本当に臨也のマフラーが欲しくなり頷く

「でもそれちょっと解れてるとこあるし、新しい方がいいんじゃないの?」
「臨也のがいい、これがいい」

静雄は自分の小さな独占欲に内心恥ずかしくなり顔を赤くする

「そうなの?まぁ、そんなに言うなら、あげるよ」
「ありがと、嬉しい」
「良かった、じゃあ自分の分ここで買っちゃおうかな」
「お、俺が選ぶ」
「え?なんでもいいよ」
「良くねぇ!」


静雄に言われ、さっきと立場が逆になっていることに気づき臨也は小さく笑った

「じゃあ、シズちゃんが選んでくれたやつにするね」
「おぅ、任せとけ!」

得意気にこっちを振り向く静雄が可愛くなり店内であるにも関わらず、ありがとう、と言いながら軽く口づけると、これ以上無いくらいに顔が真っ赤になった



END
(にしてもピンクと黒のボーダーって凄いの選んだね)
(臨也はピンク似合うと思って)
(ありがとう、大事にするよ)
(俺も大事にする)



―――――
屮已たんに捧げます(*´∇`*)
リクどおりになってなかったら言ってください!
いつでも書き直します!
因みにマフラーの色は趣味です
臨也のダッフルコートは趣味です

では、相互ありがとうございました\(^o^)/




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