※来神時代


「またか…」

静雄は放課後、隣の教室を見て溜め息を吐いた。

「今日も先に帰るか…」

静雄が教室で見たものは臨也が名前も知らない女と仲良く談笑している様子だった。最近、この様な状況をよく目にする。付き合い始めてから4ヶ月も経つので、当初の初々しい感じや甘い空気は薄れてはきているが、静雄も甘えたい時くらいはある。

「そろそろ終わりかもな…」
「何が?」
「!…新羅」

独り言に返事が返ってきたので驚き振り返るとニッコリと笑っている新羅がいた。

「そうなんだ」
「もう終わりにしようと思う」
「臨也とちゃんと話し合った方がいいんじゃない?」
「いや、いい。最近、ろくに話もしねぇし、もう終わったってことだろ」

これまでの事を話すと新羅は黙って聞いてくれた。
別に、臨也の事を嫌いになった訳じゃない、むしろまだ好きだ。だからこそもう別れようと思う。これ以上辛い思いをする前に。今でさえ辛いのにこの先の事を考えるともう無理な気がした。臨也はここまで、自分の事を考えていないんじゃないかと思うと余計に胸が苦しくなる。新羅と別れ自分の家に着き、制服も脱がずにベッドに横になる。














ピンポーンピンポーン

煩く鳴り響くインターホンの音に目が覚め、いつのまにか寝ていたことに気づく。出るのも、面倒なので居留守を使うことにした。

ピンポーンピンポーンピンポーン

だが、インターホンは止むことなく鳴り響く。さすがにイライラしてきたので出ることにした。

「はい、どちらさ…」
「シズちゃん」
「臨也…何しに来たんだよ」

驚きと寝起きということもあり自分でも思った以上に冷たい声色で聞く。

「ごめん寝てた?」
「あぁ、なんの用だ」
「新羅から、聞いて…」
「……」
「シズちゃんが、俺と、そのっ、別れたいって言ってたって」
「あぁ」

臨也を家に上げる事もせず玄関で会話を交わす。

「本当なの?」
「本当だ」
「俺の事嫌いになった?」
「……」
「…シズちゃん?」
「もういやなんだ…辛い思いするのは」
「ごめん」
「最近はろくに話もしねぇし、今日だって本当は一緒に帰りたかった…」

静雄は放課後の事を思い出し、胸が締め付けられる思いになった

「ごめん、シズちゃん」
「俺ばっかり…好きみたいでっ」
今まで溜め込んでいた感情が一気に溢れ出し、ぽろぽろと涙が零れる。

「だからもう…別れようと思う」
「シズちゃんっ」

名前を叫ぶと同時に家に上がり静雄を抱き締める。

「嫌だっ別れたくない」
「……でも」
「俺、シズちゃんの優しさに甘えてた、付き合ってるっていう関係に安心しきってたよ」
「…臨也」
「シズちゃんを手放したくないっ…誰にも渡したくない」

より、一層に抱き締める腕に力が入る。静雄でさえ少し痛いと思う程に。

「俺、シズちゃんのこと大好きだからっ…愛してるからっ…だからっ」

もう一度、チャンスをちょうだい、そう言いながら静雄を見つめる目は今までに見たことのないほど真剣だった。
この紅い目に捕えられる。逃げられない感覚に静雄はずるいと思った。いっその事、切り捨てられるほど嫌いになれればいいのに、と。

「……」
「シズちゃん…だめ?」
「……っ」
「お願いっシズちゃん」
「…次は無いから」
「シズちゃんっありがとう、ごめんね、本当にごめんね」

臨也は存在を確かめるようにシズちゃん、シズちゃんと何回も呼び続ける。それを聞いて静雄は臨也に応えるように抱き締め返す。

「シズちゃん、キスしていい?」
「ぅん」
「可愛い…」
「っんむっんぅ…はぅっ」

静雄を壁に押し付け深く深く口づける。

「シズちゃん、口開けて?」
「んぁっん」

ねっとりと舌と舌が絡まり卑猥な音が響く。

「もう、辛い思いも悲しい思いもさせない」
「信じるからな」



臨也は二度と過ちを繰り返さないと決めて腕の中にいる愛しい人を見つめた。






END
(臨也…)
(なに?)
(今日、泊まっていけよ)
(わかった、じゃあ明日は学校休むしかないね)



――――
泣き虫シズちゃん萌えっ
必死な臨也萌えっ
そういうの書きたかった(´-ω-`)






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