※臨子静


「やぁ!」

下校中、そいつはいきなり現れた

「…誰だよお前」
「初めまして!折原臨也です。よろしくね、平和島静雄くんっ」

突然現れにっこりと笑顔を貼り付けて自己紹介する相手に静雄は何で名前を知ってるのか気になったが、どうせまたこのろくでもない『力』に興味を持ったやつだろうと思い無視することにした

「君を愛している」

横を通りすぎる瞬間に言われた
いきなり何を言うんだ、そもそも愛している?そんな訳がない、面識もない上に自分はバケモノなんだと、そんな俺が愛される訳がないと思い直し、立ち止まってしまった足をまた前に進めた
追ってくる気配はなかった

次の日の下校中また昨日と同じ場所で折原臨也と名乗ったあいつが現れた

「やぁ、今日も会ったねぇ」
「…何なんだよお前」
「俺は君を愛している」

そして昨日と同じ言葉を言われた

「うぜぇ」

それだけ言うと横を通りすぎた
やっぱり追いかけてはこない
それから臨也は毎日静雄の下校中同じ場所に現れて同じ言葉を言う「君を愛している」と。
最初は何とも思っていなかったが愛されることに慣れていない静雄にとって愛するという行為を受けるのは心地いいものであった。
そんな毎日も1ヶ月が過ぎようとした頃、いつからか下校中に臨也に会うのが楽しみになっていた。
でもこの日、臨也は現れなかった。いつもなら電柱に寄りかかり待っているのに。
ついに飽きたかと冷静に思う心とやっぱり自分なんかを愛してくれるものなどいないんだと寂しく思う心が静雄の胸の中で交差した。

「…だよな…やっぱ、俺なんか…」
「シズちゃーん!!」

ふと自分を呼ぶ声が聞こえ顔をあげるとそこには息をきらしながら走ってくる臨也の姿が見えた。
気づいたらシズちゃんなんて呼ばれる親しくなっていた。そして呼ばれても気にしないくらい心を許していた。

「待っててくれたの?」
「待ってねぇよ…今帰りだし」
「そっか」

目を逸らして答える静雄に小さく笑うと頭を撫でながら短い返事をした

「そうだ、公園寄ってかない?」
「別にいいけど」

臨也は公園に着くと自販機でパックのいちごみるくを買いベンチに座る静雄に渡した。

「ありがと」
「いいえ」

静雄は早速、ストローをさしてちゅうちゅうと吸う
そんな静雄を愛しそうに見つめる臨也の視線に静雄は気づかない

「シズちゃんはさ、好きな人とかいるの?」
「っごほッ」

突然の質問にいちごみるくでむせてしまった
臨也は咳をする静雄の背中を擦りながらごめんごめんと謝る

「い、いきなり何いってんだよ」
「だって自分の愛している人に好きな人がいるのか普通気になるでしょ?」
「……別に好きな人なんていねぇよ」
「嘘!絶対シズちゃんモテるでしょ?」
「嘘じゃない、それにおれなんかに好かれたって…」

声が段々小さくなる静雄を見て目を細めて頭を撫でる

「じゃあ、俺のこと好きになってよ」
「ば、ばかじゃねぇの、第一おれ男だしそれに「関係ないよそんなの」

臨也は言葉を遮り、話しながら静雄を持ち上げ膝の上に向かい合うように座らせて抱き締める

「…い、いざやは、おれのこと怖くねぇのかよ」

抱き締められて少し安心感がわき呟くように聞く

「怖くない。むしろそんな力も愛している」
「なんでそんなに…おれ何かを」
「シズちゃんだからだよ。俺はシズちゃんだから愛してる。その容姿も性格も声も力だってなにもかも全部愛してる」

淡々と言う臨也に静雄は顔を赤く染めながらただ聞くことしかできなかった

「だからシズちゃんにも俺を愛して欲しい」
「でも、おれっまだ、よくわからな…っん」

詰まりながら返事をする静雄に軽くキスをする

「答えを出すのは今じゃなくてもいい、だからゆっくり考えて欲しい」
「わか、った」

突然のキスでさらに顔を赤くして答える静雄にありがとうともう一度触れるだけのキスをした

「じゃあそろそろ帰ろうか」
「うん」
「また、こうやって話してもいい?」
「いい、けど」
「けど?」
「いきなり恥ずかしいことするのはやめろ」

そっぽを向きながら言う静雄を見ながら、いきなりじゃなきゃいいのかな?なんて意地の悪いようなことを考えながら、わかったと返事をし公園を出て別れた


小さくなっていく静雄の後ろ姿を見ながら臨也自身、こんなに自分が一人の人間に、はまるとは思っていなかったとため息ついた

臨也の静雄を手に入れる計画はまだ始まったばかりなのだ

まだ小さいく年も離れている静雄に臨也が執着するきっかけになった出来事はまた別の話



END
(やぁ、シズちゃん、今日も公園寄って行こうよ)
(や、やだ)
(シズちゃん顔真っ赤ー)
(うるせぇ)
(いちごみるく買ってあげるよ)
(寄ってく)



――――
子静かわいいよぉ
子静の弱みにつけこむ臨也に萌えるよぉ
でもそのかわいさと萌さがだせないorz







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