……俺の恋人は無防備だ



「……臨也…ごめん」
「……」
「い、臨也」
「……」
「臨也ってば!!」
「…何?」

俺は酷く冷たい態度でシズちゃんに返事をする
だって怒るのは無理もないあんなに注意しろと言ったのに…
気を付けろと言ったのに…




事の起こりは数分前―

静雄は大好きな恋人−臨也に会うため新宿に向かう電車に乗っていた
7時ぐらいということもあり電車の中は酷く混み合っている

「やっぱ混んでんな…」

軽く舌打ちをしつつも静雄は電車に揺らされていた
―と、その時自分の尻のあたりに違和感を感じた
まぁ、混んでるし気のせいだと思いとくに気にしなかった
だがその違和感は一つの考えに確信を持たせるような手の動きに変化する

(…!!明らかにまさぐられている!!え?俺男だぞ?うっそ、まじかよ…信じらんねぇ…俺これ痴漢にあってんのか!?)

尚もずっと厭らしく尻を触られながらも初めての事で混乱しながら自問自答を繰り返している静雄をお構い無しにその手の動きは段々とエスカレートしていき静雄の脚と脚の間を通り抜けるようにズボンの上から静雄自身を触わってきた

(どんな触り方だよ…頭イカれてやがる…こいつ絶対次の駅で降りて殺す!!)

など決心をしながらも気持ち悪さに身を捩りながら耐えていると

「ねぇ、おじさんナニしてんの?」

静雄は聞き慣れた愛しい人の声に振り返るとそこには

「…臨、也?」

振り返った先には口元は厭らしく笑っているもその紅い眼は獲物を捕えた獣のように獲物(おっさん)を睨んでいる臨也がいた
その臨也の姿は静雄でさえ見たことのない禍々しすぎるオーラを纏っていたために一瞬、臨也かどうか疑う程だった

次の駅で痴漢男を駅員に押し付け戸惑っている駅員に痴漢野郎だと言うことを告げると今まで乗っていた電車が閉まらないうちに急いで乗った

電車の中では終始無言で隣にいる臨也からは明らかに不機嫌な雰囲気が漂ってくる

新宿につき電車を降りて人にぶつかりながらも気にしないといった様子で臨也は改札を抜けどんどんと先に行ってしまう
さすがに静雄もまずいと思い話しかけ冒頭部分に戻る


「い、臨也、ごめん…」
「…だから言ってあったのに」
「うん、ごめん…でもまさか本当に痴漢にあとは思わないだろ?」
「シズちゃんは可愛いのに無防備だから、いつでもまわりを警戒しろって言ってるのに!!」
「可愛いくは、ない…」
「ばか!!可愛いよ!だから痴漢なんかに…電車の中は混んでるから他の奴が近くにいるのもしょうがないけど、それだけでもむかつくのに…」

舌打ちをする臨也のいらいらしながら自宅へ進む後ろ姿を見ながら静雄は立ち止まり嫌われてしまったのではないかと不安になりその眼を少し潤ませる

そして、ふと静雄が付いて来ていないことに気付き振り返ると下を向いて微かに肩を震わせている静雄の姿が目に入った
その様子と静雄の性格を考えるとまた変な想像をして泣きそうになってるのだと臨也はすぐに気付き小さくため息をもらし静雄に近寄る

「シズちゃん…泣かないでよ」
「…泣いてねぇ、し」
「じゃあ顔上げて」
「…や、だ、」
「シズちゃん可愛い…」
「だから、可愛いく、なんかないって……ふっン、はっ」

下を向きながら涙ぐんで必死に否定している静雄を見ていたらつい愛しくなり否定の言葉を聞かずに口づける

「ふっはぁ、んッ」
「んッんはアん」
「チュッんンハァンン」
―3分経過
「はっン、ってか長ぇよ!//」
「何?嬉しくないの?」
「い、いや嬉しいけど//」
「じゃあいいじゃん!!」
「だって、いきなりだったし…」
「可愛いな、…ってゆうか俺、怒ってるんだからね?」
「だから、ごめんって言ってんだろそれにあんなオヤジに触られても気持ち悪かったし勃たなかった!!俺が勃つのは手前に触られたときだけなんだ!!」
「…シズちゃんは本当に突然男らしくなる時あるよね…まぁそうゆうとこも好きなんだけど」
「臨也…」
「今回はシズちゃんの男らしい発言に免じて許すよ」
「本当か!!…臨也!今度は気をつけるよ!俺今日は臨也に会うために電車乗ってたんだ」
へへっ笑う安心しきった静雄を見て可愛いと思いつつ、つい苛めたくなり今夜はどんなプレイで攻めようかと考えながら

「そっか、じゃあ今夜はたくさん楽しもうね」

と耳元で囁き顔を真っ赤にしている静雄を背に、にやけが止まらない口を押さえながら臨也は自宅へ向かった


END
「ってかなんで臨也も電車に乗ってたんだ?」
「え?…あぁ仕事仕事…ある意味ね…」
「ある意味?」
「シズちゃんが気にする事じゃないよ」
「ふーん」


―――
なんだか臨也が大好きなシズちゃんを書いて見たくなりました
そしてシズちゃんが大好きな臨也をry
まぁ、甘いのが書きたかった







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