日が沈み始めた頃、名前の家のインターホンが鳴った。

「佐久間くん、迎えにきたみたいだね」

名前の言葉は僕の頭の中を通り抜けていく。僕の心臓は今にも破裂しそうなほど速く脈うっている。

あの子に、彼女に会える。

「ペン太くんおいで」

僕は名前に抱き上げられ、玄関に向かう。僕はギュッと目を瞑った。

「あ、あ…苗字っ!!わ、悪いなペン太預かって貰って」
「ううん、こちらこそペン美預かって貰ってありがとう」

ヘタレな次郎の声と笑う名前の声を聞きながら僕はゆっくりと目を開けた。

久しぶりに見る彼女の笑顔がそこにあった。次郎に抱かれている彼女は水族館にいた頃と変わらない、優しい笑顔だった。

「佐久間くん、ペン太くんと仲直りしてね」
「苗字もその、ペン美ちゃんと仲直りしろよっ」

「ごめんね、ペン美」
「ごめん、ペン太」

なんか次郎が謝ってる気がする。僕はそれどころじゃなかったけど、ちらっと次郎を見て僕も謝る素振りをした。それからすぐに彼女を見ると彼女も名前に謝っていた。

「また来てね」
「おお…おうっ」

ひたすらどもっていた次郎に連れられて僕は家に帰った。

次郎はまた彼女に家にお邪魔するらしい。その時は僕も一緒に行って今度こそ彼女と話そう。



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