「んー、迷子かな?」 僕を抱き上げた名前は優しく聞いてきた。僕はふるふるとあるか分からない首を振って否定した。 「…喧嘩、かな?」 今度はこくん、と肯定した。 「そっか。じゃあ、佐久間くんには私から連絡するから私の家に来てる?」 優しく笑う名前。僕は名前に連れられて名前の家に向かった。途中、名前は次郎に電話をした。話を聞くと、名前の家のペンギンも家出中で名前が探していたらしいがどうやら次郎がそのペンギンと一緒らしい。 なんだ、ただ単に次郎と名前が入れ替わっただけだ。名前は家出したペンギンが次郎のところにいると聞いてほっとした様子だった。 「はい、どーぞ」 名前の部屋、僕の目の前に僕の大好物を置く名前。部屋を見渡せば次郎の部屋に似ている部分がたくさんある。…名前の家もペンギンがいるのだからそれもそうか、と納得して僕は好物にかぶりついた。 「ペン太くん、さっきも言った通り私の家にもペンギンがいるの。ペン美っていうんだけど」 僕はドキッとした。“ペン美”という名前は僕が恋した子と同じ名前だったから。でも、名前のペンギンがあの子な訳がない。 「今度会わせてあげられたらいいな」 今写真見せるね、と微笑む名前の目が僕は見れなかった。 あの子だったら、 あの子でなかったら、 僕はどうすればいい? 「ほら、この子なの。可愛いでしょう?ちょうどペン太くんと同い年なの」 写真にいたのは、まぎれもない僕が恋したあの子だった。 [*prew] | [next#] |