母親と父親


「あ、あれ…河野と豪炎寺じゃないか?」
「…やっと行動に出たか」
「まァ、河野からしてみれば無意識かもしれないけどな」

俺と鬼道の前には豪炎寺と河野が手を繋いで歩いている。さっさとくっつけばいいのに、と思うのはやっぱりアイツの保護者みたいな心境なのだろうか。かぜママンと呼ばれるのは嫌だけどな。

「アイツら…いつくっつくと思う?」
「いくら鈍い2人でもこの合宿中にはくっつくだろう」
「どっちから告白すると思う?」
「どっちからも何も豪炎寺は河野の気持ちを知ってるだろう」
「そうだけどさ」

やっぱりここは豪炎寺から河野にちゃんと気持ちを伝えるべきだよな。河野にお風呂での出来事も後で教える約束してるし、いつ豪炎寺に言わせるか。

「…あ、」
「なんだよ鬼道」
「…以前に部室で河野の事をどう思うか話した事があっただろう」
「ああ、あったな」
「それ、一之瀬と河野が組んで部員に話を振ったらしい」
「て事は…」
「河野は豪炎寺が自分の事を保護者じゃなく1人の女として見ている事を知っている筈だ」

なんだよ、豪炎寺が河野の気持ちを知る前に河野はある程度豪炎寺の気持ちを知っているって事か。

なら、

「お互いに両思いなのは知ってるんじゃないか」
「だが、行動に移さない」

どっちもどっちだな。

ここは、俺達でなんとかするか。それがきっと俺達の役目だから。




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