お風呂でおはなし


「こら真衣!温泉では泳いではいけないのよ!」
「だって夏美ー、こーんな広い温泉で泳がない人は絶対にいないよ?」
「ほとんどの人は泳ぎません!」
「ぶーっ」
「真衣さん。ちゃんと入りましょう?」
「春奈ちゃんまで!」
「ほら、真衣ちゃん」
「…秋ちゃんにまで言われちゃあ、仕方ないなー」

大浴場、そこには広い温泉が広がっている。勿論、天然の。

「あ、そういえば真衣さん」
「んー?」
「真衣さんって、豪炎寺さんが好きなんですか?」
「ぶっ…」

キラキラと目を輝かせて聞いてくる春奈ちゃん。

「なななななんで…」
「どもり過ぎです、真衣さん」
「……なんで、」
「なんとなく?」
「な、なんとなくって…」
「で、どうなんですか!?」
「…ん、合ってるよ」

ヤバい。顔が赤くなるのが自分でも分かるよ。…逆上せたって事にしとく。

隣にいる秋ちゃんは夏美と笑ってるし。(夏美にもバレてたのか)

「っもう上がろう!」

ザバッとお湯を揺らせながら温泉から上がる。夏美にまた怒られたけど知らない。

湯冷めしないように直ぐに浴衣に着替えて髪にドライヤーをかけてから部屋へ戻る。

私達より早く豪炎寺達が部屋にいたのはやっぱり男の方がお風呂は早いという事。

「あ、ああ秋!おお遅かったな!」
「どうしたの、円堂君?」
「あ、や、その…なんでもない!なっ豪炎寺!」
「あ、ああ…」

どもりまくりで早口の円堂とうつ向きながらも顔が赤いのが分かる豪炎寺。

どうしたものか。



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