青、蒼、碧


「夏だ!海だ!」
「聞き飽きた、その台詞。ここに来てから何回目だよ」
「マックス、冷たいっ!」
「いいから、早く泳ごうよ」
「おし!マックス、ビーチフラッグやろーよ!」
「ねぇ、僕の話聞いてた?」

全員が集合して早30分が経過していた。

「なんか思ってたよりも暑くない」
「今日の最高気温は22度で、夏…にしては低いからな」
「なんで夏を強調するのさ、染岡。あ、ママー日焼け止め取ってー」
「誰がママだっ!」
「私、風丸だなんて一言も言ってないよー?」
「くっ!卑怯者!」
「知らなーい」

日焼け止めを塗り直しているとマックスが半田をからかっている姿、少林寺達数名がビーチバレーをしている姿、夏美がパラソルの下で本を読む姿、春奈ちゃんと鬼道が海の家に入る姿が見えた。で、風丸と染岡が隣にいて。

あれ、泳いでるのいなくね?と思ったら豪炎寺が1人で遠泳中だった。(流石、豪炎寺)

土門と一之瀬は、と思ってたら一之瀬がナンパしようとしてるのを土門が止めてる姿が見えた気がするが、見なかった事にしたい。一之瀬、やめなさい。

「秋ちゃんと円堂がいないよー」
「2人には2人で買い出しに行くように頼んだ」
「さっすが、かぜママン」
「それだけは止めろ」

何はともあれ、秋ちゃんと円堂は2人らしい。順調、順調。

「うしっ、私も泳ごうかな」
「河野って泳げるのか?」
「失礼だな、染岡」
「いや、海に来て30分以上経つのに泳ぐ気配無いから泳げないのかと」
「泳げますーっ」
「「そうなのか!?」」
「風丸まで!?」

私、泳げない様に見えるのかな。バリバリ泳げますが何か。

驚きの顔をする2人を置いて、私は海へ駆け込む。

「ごーえんじーっ!」
「っ、…河野?」

ひたすら泳いでいた豪炎寺に声をかければ豪炎寺は海の中から出てくる。

あ、髪がおりてる。当たり前の姿だけど、その姿に少し見惚れる。

「ごめん、邪魔しちゃった」
「いや、大丈夫だ」
「ありがと。でね、一緒に泳がない?」

皆泳ぐ気配無いから、と言えば豪炎寺は辺りを見回して頷く。

「ああ、泳ぐか」
「うんっ!」


深く蒼い海よりも
浅く碧の海が好き





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