※高校生

「なあ、秋」
「うん?」

中学より多い7時間という授業と中学と変わらないサッカーを終えて薄暗く、寒い帰り道を電灯が照らしている中、2つの影が伸びる。少し前までは私と変わらない身長で影も同じくらいだったのに、今では隣にいる彼の方が影は長いし身長も私より上。ただ隣にいてサッカーをする、それだけが中学の頃から変わらないこと。

「サッカーってさ凄いと思うんだ」
「うん」
「サッカーのおかげでたくさんの奴に出会えて」
「…うん」

もう何十回と聞いた円堂くんの台詞。何十回話してもキラキラとした顔の円堂くんが私は好き。

「そりゃサッカーは大変な事もたくさんあったけどさ」
「そうだね…」

廃部の危機から帝国戦になって、世宇子戦、エイリア学園、そして…円堂くんにとっても私にとっても最大のショックだったダークエンペラーズ。本当にいろんな事があった。

「でもさ、…随分前にも言ったけど俺たちがエイリア学園とかと戦えて良かったと思うんだ!」

綱海たちにも会えたしな!と笑う円堂くんに私も笑みを返す。

「それにな!」
「うん」
「秋とこうしていられるのもいろいろあったからだしな!」

そう言って私の手を握る円堂くんはあの中学の頃から随分変わったんだと思う。そして、自然と握り返せる私も。

「なあ、秋。秋にはすっげー感謝してるんだぜ」

だからありがとな、という円堂くん。ありがとう、は私の台詞なのに。

円堂くんの隣にいられて幸せを感じられて、人のあたたかさを知れた。

ありがとう、円堂くん。


end..

* * * *
偽物すぎる罠←

2009.12.27


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