父はイケメンです

 キッチンでクリーチャーの手伝い(といっても食器棚から食器を出すぐらいの簡単なことだ)をしているとバシッと空気を切るような音がした。その音の方へと顔を向けると姿表して帰ってきたらしい父さんがいた。前にもいったがうちの父さんはものすごくイケメンである。その整った顔もグレーの髪と目もしっかり俺にも兄さんにも伝わっていて鏡を見る度に俺はその素晴らしい遺伝子に感謝した。前世はキングオブフツメンと称するほどフツメンの中のフツメンだった俺が8歳になった今では美少年の中の美少年。キングオブ美少年だ。まあ兄さんには劣るけど。第二の人生がこんなにも素晴らしいものになるとは思ってもいなかったぜ。
 とにかく父さんには本当に感謝感謝だ。しかし父さんは何度見ても子供が二人もいるようには思えないよなあ。25歳の時に結婚して兄さんが生まれたんだっけ? つまり今年で35か。まったく35に見えないぞ。20代後半にしか見えない。

「どうした? レギュラス?」
「……あ!おかえり父さん」
「あぁ、ただいま」

 着ていたローブを脱ぎながら父さんはぼーとしていた俺に不思議そうな顔をした。自分の父親に見とれていたなんていえるわけがない。俺はごまかすように笑った。父さんを若く見せるところはこういうところだろう。きょとんと不思議そうな顔をしたりする姿はなんていうか、かわいらしい。それにブラック家当主なのに結構適当なところもあったりするし。母は「お母様」と呼んだり敬語を使わないとすごく怒るのだが(それはもう般若のごとく)、父さんはかたっくるしいのが嫌らしく普通の家族ように、というか普通の親子の会話だ。それに少し親バカだ。兄さんが転んでしまい怪我をした時なんてそりゃあもう骨折でもしたか?ってくらいすごく慌てていた。ガーゼはどこだ! なんてクリーチャーに言う父さんに母が呆れた顔をしてシリウスにエピスキー(癒えよ!)と唱えていた。父さんは35歳にしてはかわいい人だ。
 純血名家のブラック家当主の父さんは忙しいらしくあまり家には帰らない。マグルでも魔法使いでもどこの家も父というのは大変だなあ、と思った。でも帰ってきては優しく俺と兄さんの頭を撫でる手は疲れを感じさせず温かくて心地のよいものだ。精神年齢はとうに成人した見た目は子供中身は大人の俺だけど、父さんに頭を撫でてもらうのは何故か照れたりせずすんなり受け入れる。

「そうだレギュ。今日はプレゼントがあるんだよ」 
「ほんと!?」
「シリウスと一緒に食べなさい」

 はい、と優しい笑顔で渡された箱には前にも食べたホグズミードのおいしいケーキ屋のロゴが書いてあった。こ、これは!! 前食べた時にすっげー上手くてそんなに甘いものがすきじゃなかった俺が唯一ハマりかけてしまったケーキだった。父さん覚えてくれていたのか。覚えていてくれたことと、このマイスウィートケーキちゃんにまた出会えた喜びでじーんと鼻の奥が熱くなった。

「ありがとう父さん!!」
「おっと、」

 大好き!といい父さんに飛びつくと少し威力が強すぎたのか父さんは少しよろめいたけどしっかり受け止めてくれた。レギュ、また大きくなったな。なんて父さんが笑うから「じゃあケーキ食べてもっと大きくなるよ」と言ったら父さんはアハハと楽しそうに笑った。







やさしいてのひら









「あのな二人とも。少し頼みがあるんだが、」

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