フられた気分です

 俺が第二の人生を歩み始めてから7年がたった。ラッキーセブン! 7年って本当にあっという間なんだね。今では戸惑いも消え素直にこの世界を受け止めている。兄さんは今年で8歳。あと3年でホグワーツに入るはずだ。幼いころからの母の過剰な教育に嫌気がさした兄さんは順調にブラック家を嫌っている。見事にひん曲がってしまった。
 純血主義を嫌がる兄さんによく母はヒステリックに叫ぶが兄さんはこの数年で母の対処法を身につけたのか母の声が聞こえるとすぐに部屋に戻っていくようになった。俺はというと別に純血主義でもマグル贔屓でもなくどっちつかずって感じだ。というか割とどうでもいい。母はしつこく俺を純血主義にしようとしているようだが聞く耳もたずというか聞いてるふりして右から左だ。しかし母の前ではいいこぶっている俺を兄さんはよく思ってないらしい。てかむしろ俺が純血主義なのではないかと勘違いしているっぽいな。話しかけても最近は冷たい感じがして思わずなきそうになったよお兄さん。精神年齢25の俺が8歳児に泣かされるって……もう情けなくて仕方ない。というか情けないなんて通り越して惨めだ。兄さんが大人になった時いってやるんだ、俺あの時心の中じゃ毎日泣いてたんだからな!!って。

「兄さん、お母様が呼んでる」
「……しらない」
「そっか」

 リビングで喚いている母に言われ兄さんに一応声をかけるが兄さんは整った顔を歪めて嫌そうに言葉を返すだけだった。ああごめんね兄さん。俺だって兄さんを不快にさせたくはないんだけどうるさい人がいるからさー。一応言ったって言えば俺にはなんにも言わないだろうし。俺って八方美人なんだよ。
 でも兄さんもあんな風に態度を出さずおとなしく聞き流しておけばいいのにと思う。わざわざあんな風に態度に出すから母もああやって怒るんだろう。まあ8歳児には難しいことか。やっと7歳にもなり一人外にでれるようなった俺は結構自由にやっている。まだ7歳だし魔法だって使い放題だ。杖はないけれど俺が動けー動けーと念じると大体のものはその通り動いてくれる。というか杖がないから逆にラッキーだ。杖の記憶を調べられたりしないから俺が魔法を使った形跡なんて何一つ残っていない。改めて魔法がどれだけ便利なものなのかを再確認したわけだ。ブラック家に仕えてくれているクリーチャーの手伝いも少しはできるようになったし。
 初めてクリーチャーと対面したときは結構びっくりした。映画で姿を見たから僕妖精がどんなものなのかは想像できてはいたが、いざ目の前で動いている姿を見るとびっくりしたさ。でも一緒に暮らしているんだからいつまでも驚いてるわけにもいかない。一々驚いてもクリーチャーに不快な思いさせるだけだし。未来では確かクリーチャーは兄さんのことが嫌いだったけどレギュラス、つまり俺のことは好いてたはず。第二の人生、せっかく前世の記憶を持っているのだから上手にいきたいじゃん? だからクリーチャーと頑張って仲良くしようと思ったんだけど、頑張る必要はなかった。なんか、こう……クリーチャーってよく見るとかわいいよな。ブサかわいいっていうの? 美人は3日で飽きるじゃないけど、なんだか最近はクリーチャーがかわいくて仕方ないよ。まさかのクリーチャー萌え。これは流行る。この前兄さんにそう力説したら頭大丈夫か? って目で見られたけど、もしかして避けられてる原因ってそれじゃないよな?





息をするのも億劫だ







 クリーチャーに慰めてもらおう……

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テーマ「人外ファンタジー」
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