「七篠?」
「おう赤坂じゃねーか。久しぶりだな」
大学が終わり早く帰ってアマゾンから届いたゲームをしなくちゃ、と急いで帰っていたら自分の名前が呼ばれたので振り返ってみると中学から一緒で親友の赤坂がいた。赤坂とは中高一緒の学校にいっていたが大学で別れてしまったので会うのは久しぶりだった。
「相変わらずゲームばっかしてんだろ?」
「うるせえ! ゲームは俺の生きがいだ! クラナドは人生!」
「相変わらず気持ち悪いな」
うう、気持ち悪いとか言われたら俺の小さなか弱いチキンハートが木っ端微塵になってしまうじゃないか! まあ言われ慣れてるからもう何言われてもへこたれないけどな。俺、強い子。
赤坂は俺の大親友兼悪友だ。中高ちょっとした悪戯などをしてよく先生たちを怒らせてたなあ。懐かしい顔を見ていろんな思い出が蘇る。
赤坂が超絶イケメンでモテたこととか、バレンタインでどっちが多くチョコを貰えるかの勝負で俺は女子に土下座までして勝とうとしたのに赤坂は何もせず俺の倍以上のチョコを貰い完敗したこととか、畜生なんで人間は顔で差別するんだ! と俺が泣いた時赤坂が朝まで慰めてくれたこととか…。赤坂、イケメンすぎる。
「顔面格差社会……」
「は? なに?」
ぽつりと呟いた俺の言葉に赤坂はいかがわしげな顔で俺を見ていた。畜生イケメンにはわからないんだ! 俺だって金ためて整形してイケメンになってやる!
「それより今日暇だろ? 久しぶりあったんだしどっか食いにいこうぜ」
「いや俺帰ってゲームが……」
「今日俺金持ってるんだよ」
「よし! 寿司食おうぜ! 寿司!」
奢ってくれるならもっと早くいいなさいよ! ニマニマとした笑いを見せる俺をすごく冷たい瞳で見てくるが無視する。赤坂くんマジ天使。俺赤坂になら……いや嘘ですごめんなさい。僕は女の子の太ももと二の腕にしか興味ありません。そんな目で見ないで赤坂きゅん!
「早く寿司いこうぜ!」
そうとなったら善は急げだ。何食おうかな! 俺一番茶碗蒸しが好きなんだよ。回転寿司の茶碗蒸しはうまいよなあ。中には行ってる魚がうまい。しいたけは嫌いだ。基本きのこ類は俺嫌いなんだ。…茶碗蒸しは寿司じゃないとかそういうツッコミは置いとく。
「おい七篠! 前ッ!」
「え?」
――キキーッ
「七篠ッ!!!」
茶碗蒸しに浮かれていると車のブレーキの大きな音と赤坂の呼ぶ声で俺の視界は真っ白になった。なに、どういうこと? ……え? 俺死んだ?いや急展開すぎるだろ。
終わる世界
最後に茶碗蒸しが食べたかったなあ。
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