「部屋、資料だらけじゃない。ちゃんと片付けなよ。それに洗濯物!ほしときなさいっていったでしょ?」

「やってくれる人がいるから俺がやる必要ないと思うんだよねえ」


 あーいえばこういう、臨也を一言で表すこの言葉に限る。何かと変な理由をつけてあたしを巻き込む臨也に反論しようものなら嫌な笑顔を浮かべながら屁理屈を返してくる。臨也と会話していると本当に疲れんだよ。だいたいやってくれる人ってあたしのことじゃない。この野郎。ため息をつくのもバカバカしくなり部屋に散らばったコピー用紙を拾い集めた。


「混ざるからやめてくんない?営業妨害だよ千花ちゃん」

「じゃあなんのためにあたしを呼んだのよ臨也くん」


 眉を潜め嫌そうにする臨也に殺意を抱くのは何度目だろうか。急に連絡してきて来いだなんていうからいつも通り部屋を片付けてって理由かと思ったのに違ったのだろうか。相変わらずの散らかりようを見たら掃除しろって意味だと思ったんだけど。はあー臨也の生活力のなさには本当呆れる。


「別に?ただ千花の顔が見たくなって」

「嫌よ」

「……まだ何も言ってないんだけどなぁ」

「言わなくてもわかるよ。どうせ悪いこと考えてるんでしょ?」


 そう言うと臨也は何も答えず肩を竦めた。ほらやっぱり。もう臨也の話なんて真面目に聞いてたら命がいくつあったってたりない。昔一度だけ臨也と静雄くんの巻き込まれたことがあってあたしは怪我をした。すっごく痛くてあのときは本当に臨也をぶち殺す気でいた。静雄くんはすごく謝ってくれたけど臨也のせいだから静雄くんは怨んでないし許したけど、臨也のことは絶対に許さないんだから。
 はぁ、ともう一度ため息をつくと臨也に「お腹へった」と言われたのでイラッとしながらキッチンに行こうと振り返ると臨也は何が面白いのか声を出して笑った。こいつ……!殺意を混ぜながら睨んでも臨也は楽しそうに笑う。


「よく俺の言う事素直に聞くよね。千花ってお人好しっていうかバカ?あ、もしかして俺のこと好きだったりする?」

「帰る」


 そう言ってキッチンではなく玄関に向かおうとすると臨也は「洗濯物干してから帰ってね」と憎たらしいことを言いやがった。







(110407_お人好しっていうかバカ?)
title by 確かに恋だった
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