くわあと漏れた欠伸に目を潤ませながらとぼとぼと賑やかな大広間へと入っていった。眠いのにみんな朝から元気だなぁ、なんて一人年寄り臭いことを思ってしまった。いかんいかん。自寮のスリザリンの席へと向かえば待つのはとっても整った顔立ちをしている後輩くん。

「千花先輩おはようございます」
「おはよう!レギュくん」

 まるで子犬みたいな笑顔を見せてくれるレギュラスにさっきまでの眠気が吹っ飛ぶ。友達のいる席にでも行こうかと思っていたけど「隣どうぞ」なんてニコニコと笑顔で進められれば喜んで、と座るしかなかった。あぁ今日もレギュラスの笑顔は癒される。目の前の食事に手をつけるのもわすれ、かわいいなぁなんてレギュラスを見てると恥ずかしそうに顔を逸らされた。

「レギュくんかわいいねー」
「なっ!そんなことありません…」

 必死に否定しながら赤くなった頬を隠すように顔を手で覆う仕種もかわいらしくて仕方ない。なんだかあたしの眠っていたS心に火を付けそうになった。でもこれ以上いじめるのもかわいそうだしなぁと曖昧に笑いフォークへと手を伸ばしサラダをむしゃむしゃと食べる。

「先輩はサラダ大好きですね」
「うん。サラダ食べてるとなんか青むしになったみたいに思わない?」
「なんですかそれ」

 思わないですよといいながらレギュラスはケラケラと笑ったからあたしもつられて笑った。朝からレギュラスがこんなに笑うなんて今日はなんていい日なんだろう。今はこんなに笑ってるけどレギュラスはたまに冷たい目をしている。哀しそうで切ない目だった。よくわからないけれどそんな目させたくないからレギュラスが笑顔になるならあたしはなんだってしてあげたい。かわいい後輩の笑顔があたしの生きる糧なのだ。なんて思いながらサラダを食べ終わりパンに手を伸ばすとあたしの手に覆いかぶさるようにレギュラスの手が重なる。あっとあたしが思った瞬間レギュラスの手はびくり離れていった。

「ふふ、ごめんね?」
「い、いえ…僕こそ」

 レギュラスの少し慌てた様子になんだか面白くて少し笑ってしまった。あたしの手が嫌だったのかそれとも恥ずかしかったのか。後者だといいなあと思いもう一度パンに手を伸ばした。

「先輩、僕だって男なんですよ?」
「うん知ってるよ?」

 今更どうしたんだと思いパンをかじると隣から「余裕ですね」と深いため息が聞こえた。








(110406_俺だって男なんですよ?)
title by 確かに恋だった
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