放課後病院にいき医院長室へと足を運ぶ。宮田先生はいるかなぁと廊下の角を曲がり視界に写りこんだのは医院長室からでてきた恩田さんの姿。チッと小さく舌打ちをして恩田さんの横を通り過ぎた。恩田さんは優しく微笑みこんにちはとあたしに言ったけどあたしは無愛想に返した。
 ノックもせずがちゃりとドアを開け医院長室に入ると宮田先生はちらりとあたしを見て「あぁ仁科さんか」と呟き手元の資料に視線を戻す。だからあたしも「こんにちは」と呟き勝手に椅子に座り脚を組んだ。

「先生また恩田さんと浮気?」
「なんの話ですか?」

 これだから男って嫌ねえと声を上げて笑えば宮田先生は嫌そうに眉を潜めた。ねえ先生、先生はあたしがその顔が大好きなこと知らないでしょ?あたしのせいでできた眉間のシワに嬉しくなって自然と顔が笑顔になる。何を笑ってるんだと気持ち悪いといいた気に冷たい瞳であたしを睨む先生にごまかすように脚を組み替えた。

「ふふふ、先生のえっち。脚見たでしょー」
「見ていない。早く帰ったらどうですか?子供は帰る時間ですよ」

 子供、ねえ。先生はそうやってあたしを子供扱いして突き放す。確かにセーラー服に包まれたこの身体は子供だけど先生を思う気持ちに大人も子供も関係ないと思うんだけどな。それにあたし自分で言うのもあれだけど、あんまり子供っぽくないと思うし。

「あたしが帰ったら恩田さんとイチャイチャするんでしょ?ひどいなぁ、あたしっていう彼女がありながら」
「美奈とそんな関係になった覚えはない。それに君とも付き合ってなどいない」

 嘘よ。あたしのことは苗字で呼ぶのに恩田さんは美奈って呼ぶじゃない。あぁ、やっぱりあたしって子供っぽいかも。今すっごく恩田さんに嫉妬してる。心の中に黒い黒い感情がもやもやっと広がり恩田さんの顔を黒く隠す。黒いあたしの心の中に唯一いるのは白い白衣を纏った宮田先生だけ。

「あたし宮田先生のこと愛してるよ」
「悪いが興味ない」

子供は帰りなさい、と冷たく呟いた宮田先生にあたしはちぇ、とふて腐れスクールバックを持った。








(110406_悪いけど興味ない)
title by 確かに恋だった
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テーマ「人外ファンタジー」
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