「ねえビル聞いて! 私告白されちゃった!」


 頬を赤く染め嬉しさを体で表現するように千花は俺に思いっきり抱き着いた。よっぽど嬉しかったのかえへへと笑いながら俺の胸に頬を擦り寄せた。そんな嬉しそうな千花に反し俺はといえば千花を抱きしめ返すことも出来ず動揺するばかり。千花が告白された? どこの誰に? 胸元を見下ろし千花をもう一度みるとすごく嬉しそうで幸せそうで、なぜか俺は胸が締め付けられるような感覚に陥る。
 確かに千花は幼なじみの贔屓目なくしてもすこし抜けてて笑顔が眩しいくらいにかわいい。お母さんが日本人だからか周りの同級生と比べ千花はすごく小柄で俺が抱きしめればすっぽり収まってしまうくらいだった。細い手足なんか強く握りしめたら簡単に壊れてしまいそうだ。身長なんてジニーと同じくらいだ。感情豊かで泣き虫でちょっとお調子者で素直な優しい子、そんな千花を生まれた時から知ってる。そんな千花だけどあまり告白はされないようで今まで彼氏はいたことがない。というか俺がいさせなかった。千花に近づこうとする輩を睨み守ってきた。


「ちょっと図書館に行ってくるね」

「迷子ならないようついていこうか?」

「何年ホグワーツにいると思ってるのよ! 子供扱いしないでよね、ビルのバカ!」


 なんて軽口を言って千花を見送ったことを後悔する。やっぱりついていけばよかった。そりゃいつもガードしてた俺がいないなんてチャンスでしかないだろう。ちくしょう。どこの馬の骨ともわからないヤツなんかに俺の大事なかわいいかわいい幼なじみを渡すわけにはいかない。


「……で、その告白うけるの?」


 俺にぴったり張り付く千花を見下ろし問い掛ける。しかし千花は何も言おうとはせず俺にぎゅっとしがみついた。答えがききたかったがこんな仕種をされてしまったらそんなことどうでもよくなってしまい堪らなく千花を抱きしめ返してしまった。俺の腕が千花の背中に回ると千花は何故かびくりと肩を揺らした。


「……受けるつもりなんだ」

「……うん」


 自分でもびっくりするほど小さな声だった。でも千花の声は俺以上に小さな声でぎりぎり耳に届くくらいだった。千花が俺以外の男と一緒に笑って仲良くしてる姿なんかみたくない。千花が俺以外男に抱き着いてる姿なんてみたくない。それは今まで気づくことのなかった思いで、なんで気づかなかったのだろう、なんて思わず笑いが漏れてしまうしまうほど簡単なことだった。

 ――俺、千花のこと好きなんだ。

 昔から千花のことを守るのは俺の役目だと思ってたし、千花が隣にいるのが当たり前でこれからもずっと千花は俺の隣にいるんだと思っていた。そうか俺は子供の時から、生まれた時から千花が好きだったんだ。今更自覚なんて、恋だなんて。
 俺らしくもなくかぁっと顔に熱が伝わるのがわかった。今は誰にも顔を見られたくない、そう思って千花にもみられないよう小さなの背中をさらにぎゅっと抱きしめ顔を上げられないようにした。小柄な千花は俺の胸にすっぽり収まってしまう。身長差も結構あるから俺が千花にもたれ掛かろうとすると必然と多い被さってしまう。千花の顔はみれないけれど俺はこの体制が結構好きだったり。


「俺も千花が好きだよ」

「……、それは幼なじみとしてでしょ?」


 千花は今まで聞いたことがないくらいに切なそうな声で言った。千花の泣き出しそうな声を聞くと俺も悲しくなる。でもその声も大好きで仕方ない。千花の背中から肩に手を置く。千花はすこし頬を赤らめ大きな瞳を潤ませていた。その表情もたまらない。
 自覚したら千花が他の男に取られるなんてことになったらいてもたってもいられない。確かに幼なじみとしても好きだ。だけど今俺の目の前にいる千花は俺の大好きな女の子だ。


「そうじゃない、」


こういう意味。そういって千花の唇に自分のソレを当てた。いきなりのことでびっくりした千花は少し口を開けた。その隙に舌を差し込み千花の口内を犯す。ぐるりと歯列をなぞるように舌を動かしまだ少し物足りないけど千花の口から離れた。俺の腕の中ではぁはぁ、と息苦しかったのか乱れた呼吸をする千花。顔を真っ赤にさせて目を潤ます千花はいやらしかった。


「愛してるよ」

「……バカっ、だいすき……!」



恋はもうはじまっていた








(なんで告白受けようと思ったんだい?)(……ビル離れしようとしてたの、ビルっていつも私のこと子供扱いするから、私のこと女としてみてないんだろうなぁって)(千花は女だよ)(…っ!なにそれっ)
110202
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