目が覚めると知らない女が隣に寝ていた。女は露出の高い着物(?)を着ている。旦那がみたら破廉恥だ! と騒ぐんだろうな。いや旦那じゃなくてもそう思うだろう。短い着物の裾から見える白い生足は眩しくてごくり、と唾を呑む。
どうしてこんな状況なのか思い出そうとするが、頭が痛く力が入らなくてそれどころではない。立ち上がろうとするが力が入らないためフラフラしてしまう。あーきっとこれは風邪だなあ。なんだか身体が熱い気がするし。なんて呑気に考えてみるが隣の女が何者なのか気になって仕方ない。
「へっくしゅっ」
あぁだめだやっぱり風邪だな。自分の体調管理もしっかりできないなんて俺様忍失格。帰ったらきっと旦那に怒られるだろうなあ。任務はなんとか成功したけどあれだけ傷を負ったんだし。あれ? 傷? 自分の体を見下ろすが服は血だらけで汚れているが特にケガをしている様子はない。死にそうになるくらいあんだけ傷を負ったんだ。こんなに早く治るわけがない。
「、ん……」
俺様のくしゃみで目が覚めたのか女は眉を寄せ寝返りをうつ。警戒心なく眠っている姿は普通のそこらにいる女に見える。まあ彼女はかなり顔立ちがいいが。しかし着ているものがどうみてもそこらにいる女たちとは違うのだ。肌触りのよさそうな質のよい綺麗な生地はきっとすごく高価なものだろう。だけどそれ以前に作りが違う。任務でいろいろな地方を回りいろいろな人間を見てきたがこんな作りの着物なんて一回も見たことがない。そう、女はどうみても怪しいのだ。
「う、ん……マダラのばかやろー」
寝ぼけているのか彼女は寝返りをうちながら寝言をつぶやいた……マダラ? まだ寝ぼけているようだが一応なにが起きてもいいようあと少しで起きそうな彼女に警戒する。もしもの場合のためクナイに手を伸ばす。が、そこにあるはずのものがなかった。焦ってクナイを探すようあたりを見回すがない。彼女が持っているのだろうか? 起こさないように気をつけながら彼女の着物に手を伸ばす。
「……ん?」
が、俺様としたことか起こしてしまったらしい。彼女は完全に目を開き固まっている。
「アハーこれって結構やばい状況?」
そうすっとボケて言ってみるが本当にやばい。これじゃあまるで俺様が彼女を襲おうとしてるように見えるじゃないか。非常にやばい。彼女は俺様の言葉に意識を覚醒したのか俺様が触れている自分の体を見下ろす。そして顔をあげ俺様を見て、口を開いた。
「お盛んね…」
「いや違うから」
「恩を仇で返すとはこのことね。今謝れば許してあげる」
悲鳴をあげるかと思えば彼女は表情も変えず冗談で返してきた。少し安心した。悲鳴を上げられて誤解なんてされたらかなわない。そんなことになったら俺様の人生で一番の恥となっただろう。寝ている見知らぬ女に手をだすほど女に困ってなどいない。確かに彼女は手を出したくなるほど美しいけれど。なんて余計な考えはやめとこう。
「あー……あんた何者?」
「覚えてないの……? あんだけ激しく愛しあったのに……」
そういい彼女は頬を赤くし悲しそうに顔を歪めた。え? なにそんな甘い展開があったの? こんだけの美しい女を抱いたんだ。昨日の俺様はきっとすごくいい思いをしたに違いない。自分の記憶がないことを恨んだ。
「あー…えっとごめん」
記憶がないとはいえ、涙を流しそうなくらい悲そうにしている彼女に申し訳なくなり一応謝る。しかし彼女は俺様の言葉を聞くと表情を一変しすごく楽しそうな顔をした。そして、
「嘘よ」
と平然と言ってのけた。この女……と殺気を込めて彼女を睨むが彼女は相変わらず楽しそうなままだった。微量といっても殺気をあてているのに平然としている女に不信感がわく。やはり彼女は一般人ではないだろう。着物といい態度といい彼女は本当に何者だろう。
「あんた本当に何者だ」
立ち上がり距離をとろうとするが熱のせいでフラフラしてしまう。そんな俺様を見て彼女はクスクス笑った。
「だから、あなたと同じだって」
あぁいいもの見つけた。
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