目が覚めると森だった……いやどこなのよ。見渡す限り木! 木! 木! 人の気配も感じられないし、こんなところ来たことがない。ここが私の来たかった場所? いやいや森になんかきたくなかったよ。てか森なんてアジトから一歩でればすぐあるじゃん。やっぱりマダラがやることはろくなことがない。次あったらやっぱり殺そう。それが世界のためだ。

「うーん、とりあえず散策しますか」

 別に急いでるわけでもないので散歩気分で歩くことにした。もしかしたらどこかの里の傍かもしれないし人を探すのが一番だろう。気配も表し一般人と偽ればここがどこかなんてすぐわかるはずだ。

 珍しい鳥がいるなあと風景を楽しみながら歩くこと1時間。こんなにゆっくり歩いたのは久しぶりだ。任務の時は休む暇もないからこういうのもたまにはいいな。あ、若干人の気配がする。一応あれなので暁のコートは脱いでおいた。下は今日はオフだったので黒いワンピースにニーハイという姿だからどうみても一般人に見えるはず。
 気配が近づくと共に人が見えてきた。だけどケガをしてるらしい。血だらけで身体を庇いながら歩いている。同業者かな。まあ私よりは弱そうなので警戒する必要もないだろう。これでも暁の一員なんだからそこらの忍に負けるわけがない。小走りで近寄り一般人を装い話かける。

「あの、大丈夫ですか?」
「……っ!」

 私の声にはっとしクナイを持ち構える。あれ? 私怪しかった? 見破られちゃった? 意外と強いのかもしれない。ごめんなさいイケメンさん。私見くびってました。

「あれ、やる気なの? もう結構限界だと思うけど」
「あんた何者だ……っ」

 一応会話はできるようだけど今にも倒れそうなほどフラフラだ。彼はやる気あるみたいだけどこれは私が楽にしてあげるしかないよね。

「あなたと同じよー」

 警戒する彼の後ろに素早く回り眠らせた。倒れていく彼を受け止めてお姫様だっこする。普通は逆じゃない? 端からみたらすごく不思議な光景だ。私もまさか男の人をお姫様だっこするとは思わなかった。なんだかすごく微妙な気分。でも眠る彼は綺麗な顔をしていたので私が王子様ってのもありかなっなんて思った。




 眠った彼を抱えてすこし歩くと休憩にはもってこいな小さな洞窟があったので、私の暁のコートをしき彼を寝かす。この光景をペインが見ていたらきっと「もっとコートを大事にしろ!」とかお母さんのように怒るだろう。まあその前に人助けする私にびっくりするんだろうな。気まぐれな性格の私のすることは私自身でもびっくりするから。
 とりあえず苦しそうなので着ている上半身の服を脱がす。脱がしながら迷彩柄とか全然忍んでないと思った。あなた本当に忍者?でも人の事言えないか。暁のコートも結構目立つわよね。ペインそういうとこダメだわ。起きた時に攻撃されても悠々良けれるけれど、めんどくさいことになりそうなので武器類も遠くへおいておいた。応急処置とかした方がいいのだろうか。このまま放置しておいて歩くのもいいけど、せっかく人が見つかったのでしとこうか。イケメンさんに恩を着せとくのも悪くないかもね。医療忍術は得意というほどではないが一通り一応できる。彼の胸らへんに手をかざしチャクラを流し込むようにすると傷はどんどん塞がった。あとは血生臭いので血を拭えば完璧だ。コートのポケットを探るとハンカチが出てきたので水遁でハンカチを濡らす。起こさないようにそっと吹いて血をとってあげた。今私すごく慈善活動してると思う。きっとデイダラあたりにみられたらゲラゲラ笑わうんだろうな。
 結局彼は起きる様子もなくそのままぐっすり寝ていていつの間にか日が暮れてしまった。お腹が減ったのでポーチへ手を伸ばすけど、ポーチの中には角都から貰ったたくさんの飴くらいしか食べれるようなものがない。非常食は前回の任務で食べきってしまってきらしている。

「まあ一日や二日くらい食べなくたって大丈夫」

 そういい飴を口に含んだ。甘い味が口の中いっぱいに広がる。仕方ない今日はここで野宿だ……任務などで結構するから野宿には慣れている。しかし寝ているとはいえ見ず知らずの他人が目の前にいるのに寝れるやつはいるのだろうか。いくら相手が弱そうだからていっても気を抜くのは良くない。どうやら今夜はぐっすり眠ることはできなさそうだ。座ったまま寝るのはお尻がいたくなりそうなので彼の隣に寝転び目を閉じた。














うたた寝気分でみた夢にはマダラがでてきてずっとクククッと私に向かって笑っている、というなんとも不快な夢だった。

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