「ねぇ、ひまです」
「しらねーよ。お子様は外で遊んでろよ」

 お子様ってひど。まあ確かに目の前にいる若作りおじさんから見ればお子様ですけどね。だからって外駆け回ったりはしませんから。

「……ハァ、ひまだ」
「チッうるせェ」

 舌打ちしやがったよこの人。少しくらい構ってくれてもいいと思うんですけど。天下の暁が暇を持て余すってどういうことなのよ。今日はみんな任務で忙しいらしく私とサソリ以外アジトに人はいない。普段話相手になるデイダラや飛段もいないし一人で昼寝をしていても暇なのでサソリさんに構ってもらおうと思ったのに、サソリさんは私より傀儡のお手入れに夢中。生身でいるから目の保養になるだろうとサソリをみていたけどいい加減飽きてきた。マダラはマダラでどっかに潜んでまた悪事でもたくらんでいるんだろう。トビならまだ相手くらいになるのに、とため息をついた。

「あー! いたいたー千花さーん! サソリさーん!」

 ……呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーんってか。狙ったかのようにトビがアジトにやってきた。あまり驚かなかったのは私の神経の図太さか。それともマダラならなんでもありとかいうイメージが私の中ではできているのか。きっと後者だろう。だって実際マダラはなんでもできそうだから。それに私はか細い神経の繊細な人間なんだから。

「……トビ、なにしにきたのよ」

 テンションの高いトビにすっかりだるだるモードの私は若干引き気味だけど、どうせぼーっとしついてもひまなのでトビの相手をすることにした。サソリさんはトビを一回チラっと見るとうるさいのがきやがったみたいな嫌そうな顔をして自室に戻っていった。

「手に入れた物を整理したてたらこんなおもしろそうな巻物がでてきたんですよー」

 よくぞ聞いてくれました! とばかりにトビはテンションをさらにあげる……中身がマダラだと思うとちょっと引く。

「ここにチャクラを込めて指を押すとなんと世界中、いや次元を越えてでも自分の行きたい所にいけちゃうんだそうです! どうですか千花さん! やってみませんか?」
「……どうですか? と言われても」

 まるで押し売りサービスの営業マンのようにキラキラしたオーラをだして迫って来るトビ。目の前にグルグルのお面があって目が回りそうだ。それに唯一隙間から見えるトビの目がすごく怖い。お願いします。離れて下さい。


「さあ千花さん! 願いとチャクラを込めて押してみて下さい!」

「ねぇトビ、あんた私を実験台にしようとしてない? てかしてるよね」

「いやいやそんなことないじゃないですかあ」


 そう言いながらハハハッと笑うトビの言うことを誰が信じるんだろう。こいつ私のことなんだと……!


「まあまあ千花さん! で? どこにいきたいんですか!?」

「えー、木の葉の団子屋はこの前いったでしょー。あー楽しいところかなー面白くて飽きないところがいい、って押さないから」


 普通に話題にのってしまった。素直に答えてしまう私はダメなやつだ。


「って、なにを!」


 そんなことを考えてる間に後ろから抱きしめられ手を掴まれた。誰に、なんていわなくてもわかるだろう。トビだ。いや寧ろマダラだろう。完全にトビのテンションじゃない。


「ちょっと、マダラ! 離せ!!」


 暴れてマダラを振り払おうとするけどマダラはそんな私に構わず耳元で「この格好えろいな」なんて笑ってやがる。


「何いってんのよ! いいから離せ!!」


 頑張って暴れるけどやはり男女の力の差でマダラを振り払うことができない。それが悔しくて思わずチャクラを込めて振り切ろうとした。のが間違いだった。


「あ、ちょ、」


 マダラはチャクラを込めたことを見逃さずに私の指を巻物に押し付けた。なにも起きないで! なにも起きないで! そんな祈りも神には届かず巻物は光出し急に眠気が身体を襲う。途切れそうな意識の中、楽に殺すものか! 覚えてろマダラ!と叫んだ。

















耳元で「それは楽しみだな」というマダラの声を聞いて私は気を失った。





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