一つ目
ジリリリリッ
けたたましい目覚まし時計の音で目を覚ます。
時刻は五時。こんな時間に合わせただろうか。
そう思いながらがしがしと頭をかきながら起き上がった。
そこで、ハッとする。
何処だ、ここ。
男性の一人暮らし、といった感じの部屋だろうか。
そこそこ散らかっているシンプルな部屋だ。
取り敢えずベットから出ようとすると、頭がズキズキと痛み出す。
痛みはどんどんましていき、たっていられなくなりその場にうずくまる。
どれくらい時間がたっただろうか。
やっとのことで痛みが治まり、顔を上げる。
そして、部屋が視界に入った途端一気に情報が流れ込んできた。
両親は海外で働いていて、一人っ子なこと。
中学から一人暮らしをしていること。
ここは、自分の家だということ。
全部、元からだったように自分の中に入り込んできてカチリと嵌った。
なんだ、これ。
呆然と息を吐く。
その時、玄関でチャイムが鳴った。
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