「…っは、勝呂生きてっか?」

「誰に言ってんねや…、余裕やし」

祓魔塾を無事卒業した俺たちは候補生から昇格して本物の祓魔師になった。志摩は髪を黒く染めたし、勝呂は寺を継いだ。

「おい!ぼおっとしとると死ぬぞっ!」

「んなこと、わかってら!」

俺は、祓魔塾で講師をしてる。楽しかった日々が忘れられず、いまは先生として教壇に立って居座ってる。
それでいまは久々に勝呂と任務が重なって悪魔を退治してるわけだが、何分数が多い。疲労も表に出てきて体力だけが取り柄の俺でも既に体がいうことを聞かない状態。

(俺、もう死ぬかも…)

「…なあ」

「なんや…っいま話しとる暇、っないねんけど!」

「こういう時にしか言えねえと思うから言っとこーと思ってよ」

周りには悪魔しかいない。下を向くと同じ祓魔師だったはずの人のような形をした塊が転がっている。そして地面一面には誰のかわからない、もしかすると自分のかもしれない赤い赤い液体が散らばっていて。まるで地獄絵図のよう。

「……きだ…」

「…ッ!?」

「ずっとずっと好きだった」

詠唱を止め、こっちを振り返った勝呂はどうしようもない間抜け顔をしていて。緊迫としていた空気が一瞬揺らいだ。

「俺も…ッ」

勝呂が何か言い掛けたとき、背後に何かみえた。それが何かを理解するよりも先に体が勝手に、足が、腕が動いてた。
「危ないッ!!」

どんっ

「!?…っなにす、…ねん」

視界はさっきよりも真っ赤に染まって、体中に痛みが走った。自分自身が血まみれだって気づくまでそう時間は掛からなかった。
最後に聞こえたのは勝呂の悲しそうな叫び声だった。





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