その日はちょうど雪男が任務で外出していて、寮には俺ひとりだった。
その事を前から聞いていたから、恋人である勝呂を誘っていま寮にはふたりきりだ。塾の話や、普段の学校についての話など他愛ない話をしながらも、ふたりきりという状況を意識してしまいあまりうまく話せない。

「なあ、」

不意に勝呂が真剣な眼差しで俺の肩にそっと大きな手を乗せた。ふたりきりという状況のせいかその行動にもドキッとしてしまう。

「ど、どした?」

その視線と雰囲気にのまれ、腰を引いたがぐいっと腕を掴まれ逃げることはできなかった。

「好きや…」

「……いきなりな…ッ!!」

その言葉と共に唇に柔らかくて熱い感触。それがなにかなんて理解するのにあまり時間は掛からなかった。勝呂の想いが熱を通じて伝わってきて、見開いていた瞳も静かに瞼を閉じて蓋をした。長いようで短い触れるだけの口づけを交わして、覆い被さってくる男に身をまかせた。

「っ…へいき、か?」

「ふ…っ…だい、じょっ…だ…ッから」

いつの間にか瞳には沢山の水を溜めて女みたいな嬌声をだして、されるがままに快感を拾い続ける。でも、初めて使うそこは当然の事ながらきつく閉ざされている。さっきまでとは違い、勝呂のモノは指とは比べものにならない大きさで。

「…やめよ…っか?」

勝呂は俺の表情をみて、そう零した。でも。

「や…だ、やめ…っな…」

勝呂とひとつになりたくて、誰も知らない勝呂がみたくて。痛みを我慢して。

「……少しの間、辛抱してな…」

その言葉と一緒に優しく労るような口づけをひとつ落とされる。それだけで気持ちが少し楽になって痛みを忘れられる。そして、止まっていた動きが再開した。それと共に涙が溢れてくる。

「ん…っふ、……った…」

「燐…息吐けっ…」

きつくて入れんと表情を歪めながらも笑いかけてくる勝呂に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。ごめんと、息を吐きながら合間に伝えるとあほか…って頬をつねられた。

「ほれ、はいったで…」

「…んあっ…まだ、動いちゃっ…」

ゆっくりと律動を始める勝呂に小さく抵抗するもそれは理性を飛ばすための材料にしかならない。初めては傷つけないように優しく、と考えていた思考回路も次第に崩れていく。

「ふあッ…そこっ、だめぇ…やあァ!」

「ふ…っもっと声、聞かし…」

勝呂のそれが出し入れされる。動く度に下半身に熱が集まり自分の声とは思えないほど甲高い声が部屋中に溢れる。

「ァ…あああ…ッ…、も…でちゃッ…」

「俺も限界や…っ…一緒に、な」

いっそう高い声を上げて俺は絶頂した。イった衝撃で自身をきつく締めつけられた勝呂も続いて中に達した。

「はあ…はっ……すぐ…」

「っ…無理すな…いまは寝え」

「ん……おやす…みぃ…」

「おやすみ、愛しとおよ」

勝呂の甘い声と優しいキスに眠気が押し寄せてきて、すぐ視界は暗くなっていった。途切れる間際に何か聞こえた気がしたけど、睡魔に負けてわからなかった。




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テーマ「人外ファンタジー」
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