チルコさま6 | ナノ


「いや、いいんだ。悪いのはぼくだから。」
「何言ってるの、連絡取らなかったあたしだって悪いんだよ!」
「いやいやいや、真宵ちゃんは悪くないよ!」
抱き合ったまま言い合っている自分達がなんだか可笑しくて、笑えてきた。
「何て言うか……お互い様?」
「そういうコトにしようか?」
ぼくらは笑いあった。
久しぶりでいとおしい、この感覚。

「帰ろうか。」
ぼくは真宵ちゃんを離すと、手を差し出した。
「うん。」
真宵ちゃんはそこに彼女の指を絡め、ぎゅっと握った。

「ところでさ、なんでわざわざここまで連れてきたの?」
帰り道、ぼくは彼女に尋ねた。
「だってほら、事務所だとみぬきちゃんやオドロキさんがいるじゃない?」
「まぁ、そうだけどさ。」真宵ちゃんの手の温もりを感じながら、ゆっくりと歩く。
「今日はこれからどうするの?」
「うーん、考えてなかったなぁ……。事務所にお泊まりしてもいいかな?」
ぼくを見上げて、彼女は言った。
「いいけど……もしかして、あれ言うためだけに2時間掛けてここまで来たの?」
「だ、だって……どうしても直接言いたかったんだもん。」
彼女は目を逸らして俯くと、少し頬を膨らませた。





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