パードレと一緒 | ナノ
まだ朝も早い時間に、私は目を覚ました。隣を見ればホルマジオがぐーぐー寝息を立てている。それからすぐベッド脇にあるベビーベッドの中を覗けば、すやすやともう例えでもなんでもなくそのまま天使の寝顔のカリーナが寝ていた。
「あ、散歩……」
昨日病院に行ったところ、たまに外の空気に触れさせてやれ、と言われたので朝の自動車の少ないうちに散歩をすることになったのだ。ゆさゆさとまだ寝ているホルマジオを揺すって起こす。
「ん……、なんだ、朝か?」
「ブォンジョルノ、ねぇホルマジオ、散歩行こう?」
「は?散歩?」
「うん、お医者さんに連れて行けって言われたの」
「……しょぉおがねぇなぁ〜」
もそもそと目蓋を擦りながらホルマジオが起き上がる。ホルマジオは私に啄むようなキスをして、カリーナの頭を撫でてから着替えてくると、部屋を出て行った。もう結婚してから暫らく経つが、未だにこの一連の動作が妙に気恥ずかしい。赤くなった頬を押さえながら私も準備をするため立ち上がった。



服を着替えて、愚図るカリーナを宥めながら服を着替えさせて抱っこして家を出た。鍵を閉めたホルマジオもすぐに追いついて三人で歩き出す。
「オレが抱っこしてやろうか?」
「大丈夫だよ」
「そうか、疲れたら言えよ」
「うん、ありがとう」
ふわふわと交わされるそんな会話ですら愛しく感じてしまう。少しまだ朝の空気は冷たくて身震いしてしまうと、それに気づいたホルマジオが肩を抱いてくれた。それにまたお礼を言いながら、ぽつぽつと公園に向けて歩き出す。暫らく進んだところで、売店に並んでいるペッシと会った。
「よう、ペッシじゃあねーか」
「あ、ホルマジオ。二人で仲睦まじくお出かけかい?」
「チャオ、ペッシ。二人じゃないよー」
「あ、カリーナじゃねぇかい!可愛いなー」
「おいペッシ、手ェ綺麗なんだろうな?」
凄むようにホルマジオがペッシを見れば、う、と唸りながら伸ばしていた手を引っ込めた。しょぼんと肩を落としながら、それでも楽しそうにカリーナの顔を覗き込む。
「まさかホルマジオがパードレになるとはね」
「うるせーぞ、なんか文句あるのか?あ?お前の大好きな兄貴だってパードレじゃあねーかよ」
「あ、そうだった」
「そういえば、プロシュートと今日は一緒じゃないの?」
「兄貴は今日は自宅でセレーナと奥さんとイチャイチャしてんだ」
「ぷはっ、プロシュートもか」
笑いながらホルマジオは、お前も早く相手見つけりゃあいいさ、とどこか寂しそうな、けど嬉しそうな顔のペッシの肩を叩いた。ホルマジオが羨ましいと言うペッシに、いいだろ、どっちもやらねーよなんて笑い返すホルマジオにときめいたことは内緒だ。その後すぐにペッシと別れて、再び歩き出す。
「照れてんじゃねぇよバーカ」
「……うるさい」
先程とは打って変わって熱いくらいの道を、ホルマジオに肩を抱かれながら歩いていく。
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