2012 | ナノ
※現パロ


「ジャイロ!ほらはーやーくー!」
「そう急ぐなって」
「だって年越しちゃうよー!」
「まだ五時間もあるじゃねェか」
買い物袋を片手に今にも走り出しそうな名前を見て、ジャイロは持っていた買い物袋を片手に纏めると名前の手を絡め取った。そのままぐい、と引っ張って自分の横に並ばせると満足したようにニョホ、と笑った。
「じゃ、ジャイロここ大通り!」
「構いやしねェよ。自分事に必死で誰も見ちゃいねェって」
その言葉にむ、と詰まった名前はそれでも恥ずかしそうにおどおどと打って変わって大人しくなる。そのしおらしい様子に楽しそうに文字の書かれた歯を覗かせると、そのまま名前を半ば引きずるようにして家に向かった。



家に着くと名前はさっそくおせちの準備に取り掛かった。手伝ってよね、とジャイロに言ってみたのだが、風呂に入ってくる、と早々に逃げられてしまった。一人寂しくおせちの準備をしていたが、途中から作り方を思い出したりするのに必死になってきてそれどころではなくなってしまっていた。そのせいかあまり物音にも気付かずに、背後にジャイロに立たれたことさえ気づいていなかった。
「器用だなー」
「きゃっ!」
「っと、ぶねェな」
突然背後から声を掛けられたことによって驚いて包丁で指を切りそうになってしまった。それに気付いたジャイロが名前の背中から覆いかぶさるようにして包丁を取り上げた。
「じゃ、ジャイロ!脅かさないでよ!」
「別にそんなつもりはなかったんだけどな。悪ィ」
ことりと包丁をまな板に置くと、ぐいっと名前の体を反転させて向き合うようにさせる。それによって名前は初めてジャイロが上を着ていないことに気が付いた。名前が真っ赤になって服着てよ、というとそのいつまでも初心な反応に楽しそうに笑いながらジャイロはもっと名前の体を引き寄せる。
「今更照れることもないだろ」
「う、うるさい」
くつくつと笑って髪を撫でるジャイロに、もうどうにでもなれと名前は擦り寄った。それを嬉しそうに受け止めながらジャイロは耳元に口を寄せて囁く。
「お前のエプロン姿、すげーイイ感じ」
「っ、ばか!」
悪態を吐いて離れようとする名前を強く拘束すると、ジャイロはそのまま抱き上げて寝室へと足を向けた。その際にバランスを崩した包丁が、からんと音を立てて流しへと落下していった。

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