抜き出した片足、 | ナノ
誰から探したものかと一瞬考えたが、アジトを出て行った順に探すのが適当かと思って、その瞬間には手繰り寄せていた。



最初に見つけたのは、ホルマジオだった。けれどその体は焼かれていて、見るも無残に爛れていた。火事でもあったのか、周囲も焦げがたくさん残り、車の残骸と思しきものもあった。そして、その中に倒れている人影に引き寄せられていることに気が付いたときは、本当に信じたくなかった。
吐き気さえ覚えるその光景に、喉に力を入れて耐えながら、そっと横たわる人物に近づいた。近づけば近づくほど、それはホルマジオにしか見えなくて、とうとう堪えきれなくなった涙を溢しながらないた。けれどそんなに悠長にしている暇もなく、これほどの被害なので人も集まってきそうになって、何とかホルマジオを抱えながら人気のない所へ移動した。
それから決して見つからないような草むらの影に、ホルマジオを隠す。何とか判別できる顔にそっと指を這わせて、ごめんなさいとありがとうを呟くと、涙を拭って立ち上がった。
もし、他のみんなもホルマジオと同じような状況だとしても助けられる可能性が少しでもあるならば、私は進まなければならないような気がして後ろ髪を引かれながらもその場を後にする。
一度全員を引き寄せてみればリゾットは移動している気配があるが、他のみんなはさっぱりで、不安ばかりが胸を責める。朝に感じた予感はすっかり鳴りを潜めていた。



それからずっと手繰り寄せてはそれらしき姿を探してを繰り返した。次に見つけることができたのはイルーゾォだったと思う。断言できないのは、イルーゾォはすでに原型を留めていなくて、どろどろに溶けている状態だったからだ。本当はそれがイルーゾォだとは思いたくもなかったけれど、それでも自分の能力を信じるならば目の前のドロドロのものはイルーゾォであり、少しでもその可能性があるのであればと何とかそれをホルマジオと同じように近くの人目につかない場所に隠した。
そこでもイルーゾォにごめんなさいとありがとうを呟いて、私はなんとか立ち上がると次を目指した。くよくよしてはいられないのだ。生きている可能性を、私は見捨ててはいけないのだから。



次はプロシュートを見つけた。随分とぼろぼろだったし綺麗な顔にもたくさんの傷がついていて、無性に胸が痛んだ。それからペッシの靴とズボンを着けた足が転がっていて、それも、ペッシと判断せざるを得なかった。流石に体の一部と言うのはイルーゾォに続いて答えたので、涙は抑えきることができなかった。流れるのもそのままに、彼らの遺体は川に沈めることにした。水の中なら腐るのが遅いと聞いたし、何よりも誰にも見つからないだろうと判断したからである。ごめんなさいと呟いて、石を体に括り付けて、そっと水に彼らの体を沈めた。



メローネとギアッチョは、見つけることはできなかった。正確に言えば見つかったのだけれど、メローネはビニールを掛けた状態で周りを警察が囲っていたので、私が触れることと確認することができなかったのだ。けれどその人集りと警察の周りをメローネを中心に回ってみたが常にそのメローネに引き寄せられていたので、間違いないだろうと判断したまでだった。

ギアッチョも同じように人通りの多い駅だったせいか、警察に回収されるところだった。メローネと同じように周りを回ってみたけれど、こちらも同じようにギアッチョに中心に引き寄せられていたので間違いないだろう。
けれど警察が回収するならそれはそれで安全だと思われたので、後で引き取りに行こうと決めて、残りのリゾットを探すことにした。まだ彼は動いているようで、ついて行っていたのだけれどそのうち海に突き当たって、更にはその海の向こうと言うか上に引っ張られるように感じたので、もしかしてと考えた。
近くの売店で地図を確認してみると、どうやらその方角には島があるらしく、どう考えても飛行機を使ってそちらに向かっているようにしか思えなかった。違っていたら随分な時間ロスになるが、可能性があるのなら、どうやってでも縋り付くべきものかもなのだ。くるりと体を翻して、決意した進路へ進むべく空港へ向かった。

行先は、サルディニア島だ。



ふるえるまぶたが願うもの
(どうか、どうか)


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