――素直じゃないわね、本当に……その調子で生き急いで、おじいちゃんになっちゃえばいいんだわ。
 ――オレがおじいちゃんになったら、同い年のお前はおばあちゃんだけどな。

 彼女のことが、嫌いから苦手に変わったあの日交わした、何気ない会話。
 思えば、あの頃から彼女に振り回される非日常が日常に変わっていっていたのだろう。顔がしわだらけになったその時にも、彼女が隣にいるのが当たり前という反応を、何の疑問も抱かずに返していたのだから。
 いつか言ってやるのだ。しわくちゃになった顔で、彼女がそんな会話なんて忘れてしまった頃に。
 あの時オレはお前が、世界で一番大嫌いだったと。






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