人の夢を奪い、夢を託され、それでもまだ自分の夢を手放せず、今でも情けないほどちっぽけな夢が叶うのを夢見ている。 (今、オレの夢は叶っているんだろうか) いたいいたいいたい、此処にいたい、ずっと。 そう思う程に、アイツの側は居ごごちが良くて。 奪い、奪われることを繰り返し、慣れきってもいたはずなのに、今のオレはそれを恐ろしいと感じている。 あの少女だけは、亜梨子だけは、なくしたくないと願っている。 「大助?」 「……ん、ああ?」 「……亜梨子ドロップキック!」 「いってえ!」 「ご主人様の呼び掛けにすぐ応じないなんて、奴隷として失格よ」 「誰が奴隷だ、誰が!」 今だけは、ちゃんと笑えていますか。 |