「ぜ、絶対こっち見ないでよ……」
 何を今更、と思ったが、ジッと見られていたら脱ぎづらい気持ちはわからないでもない。はいはい、と背中を向けて大助もシャツを脱いだ。
 が、見ていないからこそ、背中から聞こえる衣擦れの音が情欲を掻き立てる。顔を真っ赤にしながら慌てる少女の姿を想像し後ろを振り向きたい衝動に駆られたが、何とか自分を戒める。
 今すぐどうこうしなくても、どうせこれからいくらだって好きなように出来るのだ。
「……ぬ、脱いだから……行くわよ」
「あ、ああ」
 着替えているときは見るなと言っていたくせに、いざ脱いでからは恥ずかしそうにしながらも先立って風呂場の磨りガラスを開く亜梨子。
 少女のトレードマークであるポニィテールはほどかれており、なんの癖もつくことなく緩やかに腰まで届いている。
 見え隠れする男とは違う背中のライン。可愛らしい小振りなお尻と、そこから伸びる細いながらも柔らかそうな太もも。
 後ろ姿だけなのに、見惚れてしまうほど綺麗な身体に大助の態度がぎこちなくなる。何を今更。再び一人ごち、浴室に足を踏み入れた。
 散々見て触って舐めまでした身体である。
 どんなに恥ずかしいところだって余すことなく味わい尽くした肢体ではあるが――場所とシチュエーションの問題だろうか。
 初めて一糸纏わぬ姿を見たときから、いくら何をしたところでそれでも見飽きることはない亜梨子の身体。不思議だ。
「ちょっと、あんまりじろじろ見ないでよね」
 思いきり内股にバスチェアへ座った亜梨子は、左手で幼い胸を隠し余った右手で股間を隠している。口調こそ普段通りに振る舞ってはいるものの、隠しきれていない羞恥がその頬を染めていた。
「別に、そんなに見てなんかねーよ」
「嘘。いやらしい目で見てたくせに……エロ大助」
 確かに見てたけどな。
 けれど、こうして一緒にお風呂に入ることになっている時点で言い訳を並べ立てるような問題でもないだろう。確かに誘ってみたのは大助だが、承諾したのは亜梨子だ。
 ちなみに、俺はもっと嫌がられると思ったし全力拒否されたら無理強いはしないつもりだった。案外すんなりと頷かれたのは、連日続いた「お勉強」と「お仕置き」と「調教」の成果かもしれない。それでも尚自分勝手で上から目線の物言いが続くものだから、正直本当に一緒に入ることになるとは思っていなかった。
「ま、せっかくの状況だし……楽しませてもらうけどな」
 呟く。
「大助? なにぶつぶつ言ってるのよ」
「いや、なんでもねぇよ」
 言いつつ、亜梨子の後ろに座った。
 ボディソープを手に取り、軽く擦って泡立てる。
「ふふん。進んで背中を流しにくるなんて、貴方もようやく奴隷らしくなってきたようね」
「言ってろ」
 だんだんこの状況にも慣れてきたのか、いつもの調子に戻ってきている。
 それを崩したくて、泡立てた石鹸をボディタオルにつけることなく大助は自分の指を直接少女の背中に這わせた。
 ボディタオルとは違う感触に驚いたのか、「え?」と慌てた顔で亜梨子が振り向く。
「ね、ねぇ大助。手だと汚れも落ちないんじゃないかしら?」
「いやいや、タオルなんか使ってゴシュジンサマの肌に傷でも付いたら一大事だろ? 俺の力だとタオル使ったら痛いかもしんねーしさ」
「そ、そう? そういうものなの? ほ、本当にそれだけよね?」
「それだけそれだけ。他意はないって」
 ものすごく訝しげにしている亜梨子を宥め、誤魔化すように背中にボディソープを塗りたくる。もちろん手で。
「そ、そうよね? けどこれ、なんだかちょっとおかしいような……ひゃぁうっ!?」
 背中を縦になぞってみた。
「ん? どうした亜梨子?」
「ど、ど、ど、どうもしにゃいわよっ!」
 噛んだ。
 Jを逆さまにしたような形のステッキを持って優雅に微笑む、どこぞの大富豪を思い出す噛み方だ。
 大助がいかにも何もしてませんといった風に接すると、亜梨子は自分が過剰に受け止めているだけと取ったようだ。なんとか気にしてない風を装おうとして失敗している。
「ん……。ぁっ……うん……〜〜っっっ!!」
 石鹸を塗りつけながら撫でていると、ぴくぴくと肩が震える。脇腹を触ると亜梨子は過剰なまでに反応し、背中が反らされ腰が浮きかけた。
 くすぐったかったのかもしれない。面白がって右手で脇腹を上下に撫で上げながら左手で首を触ると、これまた「ひやあっ」と可愛らしい声が上がった。
「も、もう洗わなくていいからっ! それ以上うひゃっ――ぁんっ」
 うなじから顎までボディソープを塗り付ける。猫にするみたいに、少し指を立てながら喉を刺激する。通常ならただ引っ掻くだけになってしまったであろう行為も、泡立って滑るようになった指でなら多少刺激が強いだけの愛撫と化す。
「背中だけじゃ駄目だろ? ちゃんと洗わないとな」「え、エロ大助っ。最初っからこれやりたかっただけなんでしょう!」
 暴れるが、すでに大助に捕まっている亜梨子はどうすることもできずただ睨みを効かせてくる。
 赤く染まった頬で、裸のままされても何の効果もないことを理解した方がいい。というより、逆効果だ。特に、サドっ気のある大助のような男にとっては。
「じゃあ、石鹸で手が滑った」
「じゃあってなによ、じゃあって――ぇ、ふゃぁあっ? む、胸まで手を滑らせる、なんて、絶対わざとしか……ぁあ、りえない…じゃ、ないのぉっ!」
 ふにゃふにゃとしか感触。
 普段よりも滑る手が、より掴み所のないものにさせている。微かに膨らんだだけのおっぱいはもちろん、その中心で早くもぴんと勃ち上がっている乳首にも引っ掛からず、押し潰すようにして轢いていく。
 意識的に掴もうとしてみればなんとかなると思ったが、これが意外とうまくいかない。何度かピンク色の尖端をつまもうと試みたが、滑るばかりでぬるぬると大助の指から逃げてしまう。
「ぅぁ、ふぅっ、んんん……っ、ひゃ、あ、ぁふぅうぅぅ〜……っっ」
 ボディソープの効果絶大。うん、楽しくなってきた――と大助は口元を吊り上げた。
 有り得ないだろう一留の望みを託されているらしい膨らみを期待と願いを込めるかの如く丹念に洗ったあと、肋骨からお腹にかけて撫でていく。おへそまでしっかり洗い、ボディソープと共に自分が触っていないところが一ミリだって存在しなくなるよう滑らかな肌を蹂躙していく。
 お腹から太ももに飛び、揉み込みながら足の指までなぞる。バスチェアから少しだけ身体を浮かせ、柔らかなお尻を手のひらで包んだ。
「一緒に風呂入るっていったら、こういうことになるのはわかってた……だろ?」
「わ、私は、一緒に入るだけだと思って……」
「初めて俺とした時みたいな、まったくの無知っぷりだったらそう思ったとしてもわかんなんでもないけどな。キチンとお勉強した今のお前は、わかったはずじゃないのか?」
「……それは。でも……」
 未だ反論を続ける亜梨子を、唇を塞いで黙らせる。
 一度口付けると少しだけ大人しくなるのだ。この豆知識を知ってるのは俺だけでいい。
 思った通り静かになった亜梨子の身体を弄くり回す。
「……やっ!? そこ、ちがっ、やあっ、きっ汚いわよ!」
 お尻の割れ目をそって、後ろの穴に指を宛がう。と、大人しくなっていたはずの亜梨子から猛抵抗を受けた。
「……洗ってるだけだよ。汚くないし今は何もしないから、暴れんな」
「ほ、本当よね?」
「本当だって」
 ……今は、な。
 もっと教育し調教し、亜梨子が苛つく発言をした時のためのお仕置きとしてとっておくのが利口というものだ。
 思考を気取らせないように亜梨子の頭を撫で、安心させてやる。今だけは、このまま溶けていきそうなほど甘やかす。
 内心舌舐めずりをしながらサドっ気全開に口元を緩ませた。そんな大助の顔を見逃した失態はとてつもなく大きかったことに亜梨子が気付くのは、これより一ヶ月以上先の話しだ。
「ん……大助」
 顔に濡れた髪が貼り付いている。それをそっと直してやり、額や髪にキスの雨を降らせた。
 その間、もう一方の手で休まず亜梨子の身体を擦るのも忘れない。手のひらで恥骨を圧迫しながら、亜梨子の一番大事な部分にボディソープを塗り込む。
「あ! ふっ……くぅ、んんぁぁ! ひゃっぁあっぅうんっ」
 クリトリスから大淫口にかけて何度も往復する。
 興奮し、肥大化しているそれをぬるぬると指が滑る度、腕の中であまりの恥ずかしさに小さくなっている亜梨子が身を震わせながら声を上げた。
 明らかにボディソープとは異なる潤滑油が、大助の動きを手伝う。お湯や泡立った石鹸よりも濃密で、粘ついている。
「なあ。洗ってるはずなのに汚れてくんだけど、これってさ……」
「 い、嫌あっ! 言わ、ないでよ……っうぅっ……」
「身体洗ってるだけなのにな……どうしようもないな、お前は」
「あうぅぅぅ……ぐすっ」
 洗うだけなので、指は入れない。
 全身撫で回されてすっかり出来上がってしまい、いつ昇りつめてもおかしくないほどになっていたとしても、大助がするのはただ触って揉んで擦るだけだ。
 ――大助が欲しい。
 まるでそう言うように、ぬかるんだ入口がびくびくと痙攣を続けている。
 言葉にして可愛くおねだりできたら考えてやらないこともなかったが、亜梨子はまだ「大助に勝手に悪戯されている」という体制を崩していない。自分から言うには抵抗があるだろう。
 だから大助は「亜梨子の身体を洗っている」だけだ。可哀想になるくらい欲しがっていようが、入れてやることはしない。
 とっくの昔から張りつめている自分自身には、もう少し我慢してもらおう。
「それじゃ、流すからな」
 一瞬、もう終わり? とでも言いたげな顔をしたのは見逃さなかった。可愛いヤツ。
 シャワーの水量と温度を調整し、亜梨子の身体についたボディソープを流していく。
 大助はシャワーを持っていない方の腕を亜梨子の両膝裏に入れると、ぐいっと体育座りの形に――いや、赤ちゃんにおしっこをさせるような形に持ち上げた。
「きゃっ――?」
 後ろから抱き抱えるような姿勢をとっているため残念ながら見えないが、前から見たら秘所がモロに晒け出されていることだろう。
「ば、バカ大助っ! 離しなさい!」
 やめさせようとしているようだが、膝が胸につきそうなくらい身体を丸まされ抱えられていれば、逃れることなどできるはずもない。
 辛うじてお尻がバスチェアにくっついているだけで、ほとんど大助のなすがままだ。
「泡、洗い流さないと駄目だろ?」
 俺の言い訳発動。
 亜梨子の言い分は聞かずに、シャワーのお湯をそこに当てた。
「――っ!! ああぁあぁっ!?」
 強いくらいの水流が亜梨子を襲う。
 少し強すぎるか、と一旦シャワーを離し水量を弱める。再びシャワーを当てると、亜梨子の噛み殺しきれない声が漏れた。
「ふゃ、……んぅっ……ぁ、〜〜っ」
 縦筋に沿って、秘裂を上下に行き来する。
 やめ、やめてぇ、やめなさい、お願いだから、ねえちょっと――喘ぎ声の中に入る切羽詰まった声が、絶頂が近いことを知らせていた。亜梨子の身体の震えが、止まらない。
 少年は気付かないフリをして、念入りにお湯を流す。
「っんひゃ……ふぁ、ああう、ぃっ、っちゃうぅ……ああぁあ、あぁぁぅ……っ……っ!」
 泣き出しそうな普段よりもか細く高い声が、広い浴場に響いた。
 腕の中で少女の身体が断続的に跳ね、持ち上げられている足の爪先がぴんと伸びた。
「はーっ、はーっ……あ……ふ」
 シャワーを止め足を下ろしてやっても、完全に身体の力が抜けたのかぐったりと大助に体重を預けてきた。
 羞恥と興奮とシャワーの熱さ。そして元から湯気が立ち込めていた浴場にいることもあり、二人共身体が火照っている。湯船に浸かっていないにも関わらず、のぼせそうだ。
 俯いている亜梨子の顎を持ち上げ、軽く啄む。唇を舐めたり舌を絡めたり、ちょんと触れ合うだけのキスをしてみたりとしばらくじゃれ合う。
 亜梨子は強気で自分勝手ではあるものの、「素直になれない」とはまた違う。どちらかというと、呆れるほどの正直者。
 嘘は下手だし、その時思ったことをハッキリ言う。大事に育てられたのだろう。虫憑き同士の戦い、疑い、騙し合い、そういうものが溢れ返る場所にいた大助にしてみれば、信じられないくらいに綺麗な人間。
 好きなものに何の躊躇いもなく好きだと言える少女は、意外なことに大助に対してもそうだった。大助が意地の悪い発言ばかりしたり、亜梨子の矜持を貶めるような行為を強要しなければ、だが。
 身体を重ねている時、自分がどれだけ亜梨子に酷いことをしているかを思い出しかけて止めた。あれは、なんというか、仕方ない。泣いている姿が一番可愛いのだ。
「ん〜……ちゅっ」
 蹴られたり苛めたりしている日常やベッドの中とは違って、たまにはベタベタするのも、いい。
「ねぇ、大助」
「ん」
「さっきから、その……当たってるんだけど。どうにかならないの」
「し、仕方ないだろ」
 ずっと我慢していたため、先っぽとか裏筋とかが亜梨子の柔らかい肌に当たっているだけでも気持ちがいい。
 無意識に押し付けてしまっていたことに気付くと、気恥ずかしくなって抱き締めていた身体を離した。
「なあ。今度はお前が俺の背中流してくれよ」
「な、何で私が……」
「洗ってやっただろ?」
「……貴方が勝手にやったんじゃない」
「ほら、場所交換な」
「話を進めないでよ!」
 頬を膨らましながら少女が大助の後ろに移動する。仕方ないわね、とぼやきボディタオルを取ろうと伸ばした亜梨子の手を大助が掴んだ。
「ちょっと、亜梨子様が洗ってあげるって言ってるんじゃない。離しなさいよ」
「いや、あのさ。ボディタオルは使うな」
「……? じゃあ、どうしろって……」
 言いかけ、自分がされたことを思い出したのかハッとした表情になる。みるみるうちに耳まで赤く染まった。
「お前の胸にボディソープを垂らして、それで背中を擦ってくれ」
 できるわけないじゃないバカ大助エロ大助! と喚かれる前に、できるな? と念押しする。
 昼、大助が亜梨子の言いなりになっている代わりと言わんばかりに、夜は大助の言いなりになるよう連日仕込んだ。開きかけた亜梨子の口が止まる。
「あ――う」
 くしゃりと亜梨子の顔が歪み、眉が下がった。もじもじと身体を動かすと、その手はボディタオルではなくボディソープの容器へと伸びる。
 いける。
 そう判断した大助は、いつもより優しい声音で亜梨子に言い聞かせた。
「胸に垂らしたら、手で軽く泡立てて……そうそう、そしたら俺の背中に当てるんだ。それから身体を上下に動かして、タオルでそうするみたいに洗っていくだけでいいからさ……」
 言われるまま、少女が自分の胸に泡を作る。
 そして。
 その泡が胸から垂れ落ちる前に、大助の背中に宛がった。
「んん……っ」
 ふにゅ。
 大助がたっぷりと綺麗にしてやった膨らみが、背中で柔らかく押し潰される。
 ゆっくりと上下に動き、その度に固くなった二つの突起が擦れるのか「んっ」ともどかしそうな声を漏らす亜梨子。
「背中だけじゃなくて、ちゃんと全身……」
 亜梨子が再び移動し、大助に正面から抱き付くような恰好になって胸と胸を擦り合わせた。太ももを挟み込んで座っているため、亜梨子の股間がぐいぐいと押し付けられる。
「んっ……ん、き、気持ちいい? 大助ぇ、これでいい……の? あぅあぁっあ、ふぅぅ……っっ」
 狙ってやっているのかいないのか、少女が浮わついた顔で腰を動かす。ねちゅねちゃと音を立てながら一心不乱に身体を合わせているその姿は、もはや大助を洗っているのではなく、大助を使ってオナニーをしているようにしか見えない。
 少女の手を掴み、大助の性器を触らせる。上下に擦られると、待ちに待った刺激に腰が震えた。
「お前だけ気持ちよくなってんじゃねぇって……はあっ……ああ、いいよ、そのまま――」
 自分のものとは違う、握りきれていない小さな手。
 胸に、足に、性器に、全身が亜梨子の感触に包まれ、大助の快楽が引き出されていく。手付きが荒くなっているのは、亜梨子も大助の身体で絶頂を迎えようとしているのだろう。
 ぐっと揺れ動いていた肩を抱き、今より更に胸を密着させる。亜梨子はくたりと大助に身を任せながらも、下半身と手の動きは緩めないままでいた。
 まとわりつくボディソープのぬめりが先走りと混じり合い、滑りをよくして動きが徐々に早くなり、
「あ、あっんんん……ぅう、はあっ、はぁっ、はふ……っあ! あ! あぁっ、んぁ、あ……ぁ」
「うっ、あ、くぅっ……!」
 先っぽをきゅうと握り、微かに力が入ったその瞬間、大助が亜梨子の手の中でほとばしった。
 一回目で量も多ければ勢いもあるそれが、幼く可憐な手のひらと指の間から飛んで二人の身体を汚す。
 見ると、亜梨子も同時にイってしまったのか、預けた身体から力を抜いたまま小刻みに太ももを痙攣させていた。
 だが、これで終わらせなどしない。これだけのシチュエーションで、更に求めないなど愚の骨頂だろう。ここまでは前戯に過ぎない。
 大助にとっては、これからが本番だ。
「よっ……と」
「ん……大助?」
 力が抜けて重くなった(と言っても、小柄な彼女の体重は平均より遥かに下回っているものなのだが)亜梨子の身体を持ち上げると、大助は自分の身体に乗せる。今度は太ももではなく、腰の上に。
 自然と性器が触れ合う形になり、先ほど出した精液がべったりと付着したままになっているそれが、亜梨子の秘裂に絡み付く。
「きゃ……あう、んゃ……ふああぁっ?」
 ボディソープや石鹸を擦り付けるみたいに粘ついた液でべたべたにしながら、秘裂を滑走させるようにして亜梨子をそこを刺激した。挿入する寸前でお腹の方に反り返らせ、ワレ目の上の方にあるコリコリとした粒を弾いていく。
「ほら。こうやって擦って、洗って」
「こ、ここはぁっ、今……ひぃうっ……手で洗って、あ、あぅぅぅ……あげたじゃなぃのお」
「汚しちまったから、もう一回洗ってくれよ」
「あ、あっ!? バカ、バカ、バカぁっ……ぁあんっん……! はーっ、は、バカ大助ぇぇ……」
 ずっと身体を動かして、その間何度もイっていたからだろう。体力的にもう限界らしく、自分から数回性器同士を擦らせただけで力なく止まってしまった。
「ったく、仕方ねぇなぁ……」
 浴室の床に寝かせ、少女の膝がその肉付きの薄いお腹と胸にくっつきそうなくらい持ち上げる。
 さっきシャワーを当ててやった時の恰好を、そのまま床に寝かせたような形だ。今度は、大助にも丸出しになったお尻と性器がよく見える。
 その縦筋に沿い、押し当てながら、白い太ももの間に大助の昂りを埋め込む。亜梨子側からは、太ももの間から大助の亀頭が覗くところを見られるだろう。
「あ、え、あっ? なっ……なに、これ、いっ入れてるわけじゃないのに……ひゃうっ! あぁぁっ! こすれ、擦れてっんっんんんん……ふうぅっ」
 いわゆる素股。ちょっとしたソープごっこだ。
 膣や口とはまた違った気持ちよさ。ボディソープ以外の泥濘が浴室に響き、BGMに少女の切羽詰まった喘ぎ声が反響する。
「はっ、入っちゃう、はいっちゃうからぁっ!滑って、あぁ、いや、さっき大助が出したのが……そんなについてたら……私、妊娠しちゃうんじゃない……の? ……ふぁっ! ふあぁっあぁ! う、動かないでっ、こすらないでようぅ、だめっ、だっ……ああぁあ」
 言葉とは裏腹に、亜梨子の入口は大助を欲しがっていた。ぴくぴくと痙攣し、今にでも呑み込もうと蠢いている。太ももをぴっちりと合わせ、離すまいとしがみつく。
 無性に愛しくなり、空をさ迷う亜梨子の足を嘗めた。一本一本形のいい爪から指の間までしゃぶり、夢中になって腰を動かす。
 その時、きゅうっ! と、今までと明らかに別の感覚が肉棒の先端を締め付けた。
「――――ッ!?」
 亜梨子の身体がビクンと仰け反る。口を離した足先から水滴が落ち、濡れた床に跳ねる。その数秒にも満たない間に、大助は思いきり腰を突き入れていた。
 石鹸よりも白く、どろりとした液体で膣壁を洗うみたいに擦る。興奮して弛みきっていたはずなのに、尚も男を拒むような狭さを誇る穴を奥の奥まで押し広げていく。
 もっと深く、と蠕動する膣に応えて、性器以外の肌が触れ合うまで近く深く繋がった。
「あっ――あ」
「――はいっちゃったな」
 目を見開き、湯気でも出そうなほどに顔を赤く火照らせて、涙か汗かお湯かわからない水滴を頬から顎へとたらしながら、亜梨子が口をパクパクと動かした。
 またイってしまったのだろう。口端を吊り上げ、悪戯が成功したとでも言うように大助が笑う。
 膝を抱えて、足を肩に乗せた状態で、上半身を乗り出しピンク色の唇を甘く噛む。放心していた亜梨子が我に返り、みるみるうちに眉をハの字に下げた。
 何にも例え難い悦楽の表情。
「うぁぁ……だから言ったのに……こんな、奥まで……なんてぇ……。バカぁあっ、ひあっああん……ひぐっ、ん……エロ大助ぇ…………っあ! あ! や! いっ! あっあっぁあぁぁっっ!?」
 とんとんと最奥部を亀頭で弛く押し、一、二度ゆっくりと出し入れしてから容赦なく突きまくる。
「やらしいのは……んっ、どっちだろうな、エロ亜梨子」
「あっ、わっ、私は……エロ大助に、おかひくされちゃったからっ!」
「おかしく、ね。いやらしくてはしたない、変態になった? 朝から晩まで蹴ったり技かけたりしては、胸を当てたり下着見せて濡らしてたりするもんな」
「なっ――し、しない! しないわよっ! んぐっ、ふぁっ……」
「24時間俺に監視されて、風呂だけじゃなくトイレも見てほしい? オナニーしてるところも全部チェックして、報告書に事細かに書いといてやるよ。ああでも、嘘だって思われるかもな。こんなに淫乱な中学生がいるわけないとか言われてさ……」
「そ、そんなこと……ひいぃ、うぅああ! あっあっあっ……くあっ! やあっ! ゃ、や、やんんんんっっ」
 大助の言葉を聞き、一層締め付ける力が強くなる。濡れた黒い瞳の中には、恐怖と屈辱以外の羞恥と期待で揺れていた。
 休めることなくピストンし続け、肉体を快楽で支配しているところに言葉責めをすることで、言葉責めによる屈辱や羞恥をイコールで興奮に直結させる。もう亜梨子は、自分が何に対して「気持ちいい」と感じているのかもわからなくなっているだろう。大助は続ける。
「違うって言うなら、身体を洗われただけで敏感に反応してたのはどうしてだ? 今だって、最初はお前が俺の身体を洗ってたのに……力が抜けちまったみたいだから仕方なく俺が動いてやってるんだぞ? 今までも、いや、これからもずっと、身体を洗うだけでこんなになるのはお前くらいのものだよ。亜梨子、こういうときになんて言うのか今まで散々教えてやったよな。ほら、ちゃんと口に出して事実を正しく認識しなきゃな」
 一度目に出して、大助自身と共に亜梨子の中に入っていた精液と、亜梨子自身が出す濃厚な蜜がぐちゃぐちゃに泡立てられたねっとりとした液体が、お尻の下に水溜まりを作る。
 身体が疲れてきた大助は、今度はぐううっと亜梨子の子宮口と亀頭をキスさせながら揺するように押し上げた。
 止まることなく響いていた亜梨子の矯声が更に甲高くなり、震えた声は濡れている。呼吸が不規則で、今にも気を失ってしまいそうだ。
「あぁ……あっ……っ! はあぁっ」
 蕩けた瞳。
「あ……わたっ、私は、身体を洗ったりぃ……ひゃあっぁあらわれたりっしてる、だけで、何度も…………あああっ! あぐぅ、なんろもイっひゃう、エッチで……はっ、はしたない……中学生なんですっ……ぁあうううっっ!」
「そうか、亜梨子はいつでも俺のことエロ大助エロ大助って言ってたけど、それだけお前の頭の中にはエロいことしか詰まってない証拠だったんだな」
「は、はい……に、24時間、そんなことしか考えてない……変態なんですっ…………ひぐっ、ボディソープの代わりに、い、いっぱい大助の……せ、せ、精液で、身体を擦って……ああっ洗ってもらいた……くうぅぅ」
 これ以上の言葉はとっくに瓦解しているだろう矜持が許さないとでも言うのか、亜梨子が唇を噛み締めて目尻に浮かんでいた涙を溢した。
 まあ、これだけ言わせれば十分だ。
 小さい子にそうするように頭を撫で、額や瞼に口付ける。
「こ、こんなことで……んっ……誤魔化されると、お、思ったら……ふあっ、間違いなんだから……ぁ」
「ちゅっ、ちゅぅっ……ぐちゅっちぅっ」
「んふぁっぁんっ、ちうちゅっちゅ……」
 舌を絡めて吸い合う。
 一生懸命にぺろぺろちゅっちゅしてくる亜梨子が愛しくて仕方がない。未来永劫可愛がってやりたくなるほどだ。
 それほどまでに亜梨子は可愛くて綺麗で大助を愛してくれているのが丸わかりなんだから。
「だ、大助っ、 私また、またきちゃう……またぁっ……」
「亜梨子、俺も……っ」
 柔肉が複雑に絡み付いてうねり、与えられる快感に大助の動きも自然と早くなった。
 ラストスパートをかけるようにどんどん速くし、合わせて亜梨子も腰を揺らす。二人で上りつめていく。
「だいすけ、大助っ大助ぇ! 大助! 大助……っ!」
「あ、亜梨子……亜梨子、亜梨子ッ」
 忙しなく、ひっきりなしに名前を呼ぶ亜梨子に、大助もまた少女の名前を呼ぶことで応えた。
 押し寄せる快感の波。射精感が募り、もはや自分では止められない動きで亜梨子の中を何度も突いた。
「亜梨子、いくからな! お前の中に……っ」
「いっ、いいわよ、エロ大助のでいっぱいにしてもっ……。もっと私を、おかしく――――あっあああ!? あっ! んゃああっ! ぁぁあああっっ!」
 子宮に直接注ぎ込むように最奥で放出された精液が、亜梨子の中を犯して満たしていく。一度は出したというのに、まだこれほどの量があったのかと驚くくらいの勢いだ。
 それを全て亜梨子の中に出しきり、お腹いっぱいにするまで抜くことはせずに荒く息を吐いた。
 亜梨子は電流を送り込まれているかのように背中をビクンッ! と何度か跳ねさせ、きゅうきゅうと大助をくわえる。一度絶頂を迎えたあと、大助に中出しされたことでまたイってしまっているらしい。
「んっ…………ふぅぅっ……っ」
「はあっ、はあっ、はーっ…………は」
 ……気だるい充足感。二人で余韻に浸りながら、最後の一滴まで絞り出すようにゆったりとした動きで腰を捻る。
 数分経ち、ようやく汗だくになった身体を離して亜梨子の下腹部を優しく撫でた。
 滑らかな肌触りをしているが、中には大助の精子が詰まっているお腹。
 繋がっていた性器を抜き取ると、ぼたりと白濁した液が漏れ出してくる。
「……身体」
 亜梨子が震えの止まった口を開いた。
「今度はちゃんと、洗いなさいよね」





・・
・・・

 結局。
 それから「始めに戻る」が起こってもう二回した。
「何か言うことはあるかしら?」
 木製の桶を片手に笑顔のまま凄む亜梨子に対し、
「風呂場って後始末が楽だよな」
 と答えて思いきり殴られたのは言うまでもないだろう。
 しかしその直後、桶を顔面ヒットさせた側の亜梨子が鼻血を出してぶっ倒れ、大助は慌てて浴室から連れ出した。
 その時の亜梨子は茹で蛸のように顔を赤くし、肌までうっすらとピンクに染まり、まだお湯に浸かっていないとは思えないレベルののぼせかたをしていて――
 いくら二人で入ると言ったって、入浴以外のことをするのはもうこれっきりにしようと心に決めたのだった。

 尤も。
 もちろん、次の日には「大助立ち入り禁止」の紙が洗面所の扉に貼り付けられていたのだが。


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