まるでコインの裏表だ。嘘を吐いてしか生きられず、曖昧な笑顔で真意を隠す。孤立もしなければ深入りもしない、つかず離れずの距離を保つことでしか他人と触れ合うことさえ叶わない。限りなく同一でありながら、決して交わることなく僕と智の間に存在する根本的な違い。
 選ぶことのできない君の弱さを、僕はとても愛しいと思う。
「……だから、君に決断して欲しかった」
 どちらかを選択する、優しさと残酷さ。君が生まれて初めて与えるそれが、僕は何より欲しかった。安堵と諦めと絶望で身体を刻まれ、突き落とされることで赦されたかった。
 僕が、君を愛していたように。君に、僕を呪って欲しかった。







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