羊水で湯掻く


「はっあぁっ、んぁっ、」
「ここを噛まれながら吸われるのがいいんだろう?」
「っう、ぁっ、も、やだぁ…っ、」
「やだと言う割には自分から突き出しているではないか」
「っ、ちがっ…」
「なにが違うんだ」


ノゼル様が言うように、胸の先端を甘噛みされながら吸われるとあまりに快楽が強すぎて背中が仰け反る。でもその行動がまるで胸を自分から押し付けているみたいで、厭らしい子みたいで、とにかく恥ずかしくて死んでしまいそうだ。私に見せつけるように音を立てられるから、体だけじゃなくて耳も犯されているような気分に陥る。


「ここも、こんなに濡れているではないか」
「ひっ、!だ、だめですっ、!」


くちゅ、と指先が下に触れる。十分に濡れそぼったそこはお湯だけのせいじゃない。
羞恥で膝を閉じようとしてもノゼル様の腕と体がそれを阻止する。それどころか膝を掴まれ、無理やり開かされた。

それでも抵抗するように手を掴んで引き離そうと力を入れるも私の非力な力じゃなんの意味もなさなかった。代わりにと言うように伏せていた顔の下から覗き込まれ、無理やり唇を奪われる。わざとらしくじゅるりと音を立てては、閉じていた口に無理やり舌を突っ込まれる。
この方のキスは、いとも簡単に私をだめにする。


「んんっ、!んあ、やらぁっ…」
「ん…は、…淫らな顔だ」


そう言って笑みをこぼすノゼル様に、誰のせいだ、と反論したくなる。それなのに唇から与えられる快楽に何も言えなくて、自分の卑猥な声が浴室に反響してるのが耳に伝わって、恥ずかしくて悔しくなった。

キスのことでいっぱいいっぱいなのに、勿体ぶるように太ももの付け根を撫でてはその中心に指を滑らされる。自分でもわかるほど濡れそぼったそこの突起を指でグリグリと押されると強すぎる刺激から逃げようと腰が引けた。
跳ねる体を気にも留めず、何度も何度も執拗にそこを押しつぶす指がひどく恨めしい。


「ん、あ、あぁ、はぁっ…」
「喘いでばかりで舌が動いていないぞ」
「っじゃ、ゆび、止めてください…っ」
「口答えするな」
「〜〜っ、!」


ぐちゅ、
無遠慮に侵入してきた一本の指。反射的に体が強張り、目を瞑った。中に入ってくる感触がやけにリアルで、指を押し出そうとお腹に力を入れれば入れるほど、ノゼル様の指の形が伝わってくる。ゆるゆると中に出入りしてる指が時折曲げられて、いいところを弱々しく掠めると体が小さく跳ねる。
は、は、と荒い息を繰り返してはうっすらと目を開き、ノゼル様を視界に入れる。その唇は薄く弧を描いていた。


「物足りなさそうな顔だな」
「〜〜っ、そんな顔してない、っあ、!」


突起の方をまた指で弄られる。淫らな液を絡ませた二本の指で挟み込むように抓られれば嫌でも腰が浮いた。どこを触っているのか分からせるようなゆっくりとした手付きが悔しいのに、手の動きに合わせて腰が跳ねるのがもっと刺激を求めているみたいでとにかく恥ずかしかった。

ぬちゅ、ぬちゅ、ちゃぷ…
必死に声を我慢すれば、弄られている所から響く水音と、跳ねた体と連動するように浴槽の水が音を立てる。
このまま我慢してたら飽きてくれないだろうか、そんな期待を込めて唇を噛んで我慢していたら、噛むな、と唇を舐められた。


「ん…ぅ、っ…」
「声を我慢するな」
「っ、ふ、…ん…ッ、」
「**」
「ぁ、」


我慢するななんて、絶対やだ。恥ずかしくて死んでしまいそうになるのに声なんて出してられない。いやいや、と顔を横に向ければ、無防備になった耳に唇を這わされ、息を吐くように名前を告げられた。熱い息が耳を通って頭を溶かすように何も考えられなくなる。

与えられる小さな刺激じゃ体が満足しないのか、わずかな指の動きで快楽を得ようとしている体が恨めしい。もっと、なんて言葉が脳裏をよぎっては首を振って否定した。


「足りないか?」
「〜〜っ、」
「なら貴様が自ら求めるまではこのままだな」


このドSの王族め。私が何を思ってるかなんてとうにわかってるくせに。

体が徐々に昇り詰めようとしているのがわかる。それを認めたくなくて、ぎゅっと目を瞑った。恥ずかしくて、そんなことできるわけがない。


「んっ、んん、!」
「ここも、硬くなっているな」


かぷ、と胸の飾りを甘噛みされる。甘噛みされながら吸われると、どうしようもなく気持ちいのに、それが弱々しくされているからどうしてももっともっとと胸を押しつけるように背中を反らしてしまう。


「体は随分と素直だな」
「ぅ、はぁ…っ!あぁっ、!」


中にまたクチュ、と指が侵入してきた。指が軽く中で曲げられるたび、膣のお腹側のいいところを絶妙に刺激され、ぎゅう、と指を締め付けてしまう。
だめだ、やっぱり気持ちい。
一思いに触って欲しくて、でもそれを言い出せないのがもどかしい。

その時、じゅる、と乳首を強く吸われ、下の指が鋭くクリトリスを刺激した。


「あぁっ!…あっ、あ…や、あ、!」
「仕方ない、一度イかせてやろう」
「あっ、まって、ぅあ…っ!だ、ダメぇ、!」


ぐちゅぐちゅと中の指も良いところを何度も刺激する。待ちわびていた快楽に体がわかりやすく喜んだ。あられもない声をあげては、もうすぐイキそうな体を強く意識した。つま先をぎゅっと硬くして、もうすぐ訪れる絶頂に体を震わせた。


「あっ、あっ…、や、…〜〜っ!」
「イくときはそう言え」
「ひっ、あっ、〜〜っ、〜〜!!」


このまま、もっと、だめ、気持ちい、あ、だめだ、


「っえ、」


しかしその快楽が一瞬にして消え去った。なんで、どうして、と目を見開けば、妖艶に笑みを浮かべるノゼル様が視界に入る。


「クク…間抜けな面だな」
「っや、あぁっ…!」


そしてまたゆっくりと中に入り込む指。さっきまでイキそうだったから、余計に刺激に対して敏感になってしまっている。ドロドロになった中を縦横無尽に舐られ、また絶頂のギリギリにまで体を熱くさせられる。


「〜〜っ、やぁ、!ノゼルさまぁっ、!」
「まただらしなく溢れてきたな」
「っは、あ…っ、やだ、!」


なのに、絶頂の寸前で止められる。
いつまでも気持ちいいのにもどかしくて、もっとと強請るように腰が揺れるがノゼル様は絶妙なまでにイかせようとさせなかった。
挿れられた指の形を覚えるかのようにお腹に力が入って指を締め付ける。あとちょっとでも強くしてくれればイけるのに、それがなくてただただ快楽を求めてしまう思考に駆られる。


「ひっ、ぃッ、あ…!」
「どうした、腰が揺れているぞ」
「〜〜ッあぁ、もっ、イっ…!」


〜〜ッ、だめだ、イけない、
私の限界を見定めているように快楽を与え続けるノゼル様。ほんの少しでも突起を弾かれれば、馬鹿みたいに体が震えるのに、イけない。性感をコントロールされているようで、もどかしくて、なにより辛い。
当の本人は意地悪く微笑んでいる。くそぅ、遊ばれている。


「あっ、あっ…も、許して…ッ、ノゼルさま、!」
「なんのことだ」
「もっ、やだぁ…っ、もっと、ほし、あッ!」
「聞こえんな」


びく、びく、と体がだらしなく跳ねる。もうされるがままなのに、欲しいって言ったのに、ノゼル様は聞き入れてくれなかった。
頭の中が溶かされたようにぼーっとする。もう何も考えられなくて、ただ必死に懇願した。


「〜〜っ、ノゼルさま、っも、イきたッ、イかせてくださ、あぁっ、」


思わず目から涙がこぼれた。もう恥ずかしいなんて言ってられない。早く解放されたくて、口が勝手に動いた。
ノゼル様は唇に弧を描かせるだけだった。


羊水で湯掻く





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