嘘だろ……――。
愕然とするボクをよそに、ゲーム画面は淡々とテロップを映し出す。
『よしのれいこ:ありがとう、手伝ってくれて……。わたし、C組のよしのれいこ。あなたはなんて名前なの?』
ゲームはリセットされていた。
半年間に渡る芳野麗子との交流の記憶、少しずつ縮まっていく距離。つい先程まで腕のなかにいた美しいボクの想い人。まだその体温も、心臓の音も覚えているというのに。
このゲームがボクを裏切ったことはいままで一度もなかった。ゲームのなかで主人公が体験したことを、翌日には必ずボクにも味わわせてくれた。ゲーム内で起こった出来事は絶対なのだ。
『よしのれいこ:ありむらくんって言うんだ。よろしくね』
画面の向こう側で輝く彼女の笑顔が眩しい。そのグラフィックに、ボクに抱きついて幸せそうに笑う芳野麗子の顔が重なった。
背中を、冷えた汗が伝っていくのを感じた。
〈終〉