Novel/Series

02

他人から愛を受けずに育った子供は、そう簡単に自分を愛することはできない。他人の目を恐れ、自分を抑えながら生きていくんだ。

セリも…おれも、そう。

おれたちはお互いを哀れみ、お互いの傷を舐め合っているだけに過ぎない。
本気で他人を愛すことなんて、できやしない…愛す資格さえない。自分にはそれが許されるほどの存在価値がないから。
少なくとも、おれはそう思っている。
セリの恋情を知らないフリをするだけじゃなくて、受け入れられない。…いや、受け入れない。

…でも、セリは違う。
自分の不幸を認め、克服し、先に進もうともがいて、他人を…おれを愛し、愛されたいと願っている。どこまでも貪欲で、だからこそポジティブだ。
悲劇のヒロイン然とし、過去を憎悪してばかりのおれとは、根本的に違う…相容れない存在。


「……ふ、」
思わず、笑いが零れた。
「…師匠?」
「いいや、何でもないよ。美味しかった…ご馳走様」
「ありがとうございます。もっと頑張って、いつか師匠を超えて見せます!」
カップを受け取って、声高に言うセリ。

そう、そうだ。それでいい。
もっと…もっと貪欲に、自分を磨くんだ。そうすれば、お前はいつか必ず認められる日が来る。

「楽しみに、しておくよ」

その日が、お前とおれの別れの日になる。


 
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