Novel/Short

チューズデイ 01

昨日は精神的な意味で色々大変だった。

まずは与一が朝俺を迎えに来たこと。
あんなに外に出るの嫌がってたのに、俺に会いたくて朝イチで会いに来たんだろうな。…ちくしょう照れるぜ。
しかも、伸ばしっぱなしだった髪も切ってた。
さすがは早苗さん、愛する弟を最もカッコよく見せる術をよーく知ってる。そりゃあもう、あのキレイなお顔を惜しげもなく晒されたらね!…うっかり惚れちゃいそうになりましたとも。

何を隠そう、与一はかなりのイケメンだ。
俺も美形って言われることもあるけど、俺はどちらかというと王子様とか言われるタイプで、与一は和風美人?侍?…そんな感じ。
ただ…与一本人が無自覚なのが問題なんだよなあ。

お陰で俺は絶賛ご立腹です。

「えーた…ご、ごめん…ね?」
下校途中の歩道の上、与一がおろおろしながら俺の1歩後ろをついて来る。…何だか叱られたでっかい犬みたいだ。
「…何で謝ってんの」
「だって…えーた、怒って、る」
「何で俺が怒ってるかわかる?」
「……」
「ウッソー。怒ってないよ」
ちょっと意地悪してみただーけ。そう意味を込めて、与一の頭を撫でる。一瞬気持ちよさそうに目を細めたのは見逃さないぞ。
「ほんと?」
「うん」

ごめん、与一。本当はかなーり怒ってるんだ。
…お前をクラスメイトに取られたー、なーんて思ってる、俺自身に、ね。


 
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