Novel/Short

01

えーたが帰ってから、俺は1階のリビングに降りて、ソファーに座ってテレビを見ている長い黒髪の人に呼びかける。
「さぁちゃん」
さぁちゃん…早苗ちゃんは俺の7つ年上のお姉ちゃん。俺と違って明るくて優しい、自慢のお姉ちゃんです。

「なーに?よーくん」
「髪、切ってくれ、る?」
俺がそう言うと、さぁちゃんの綺麗な顔がびっくりした表情になって固まった。
「さぁ、ちゃん…?」
「よーくん…!私嬉しい!だってこんなに綺麗な顔が隠れちゃってるなんてもったいないもの!」

…何だかよくわかんないけど、ちゃんと髪は切ってくれた。さぁちゃんは美容師さんだから、きっとかっこいい髪型になったはず。
えーたも喜んでくれるかなあ…。


月曜日。
早起きして、えーたの家を目指す。今日からえーたと一緒に学校に行くんだ。勉強は自分でやってたし、テストも受けてたから大丈夫。そんなことより、久しぶりに袖を通した制服が窮屈で居心地が悪い。

しばらくえーたの家の前で待っていたら、玄関のドアがガチャリと音を立てた。
「行ってきまーす」
そう言って出てきたえーたがこっちを見て、昨日のさぁちゃんと同じような表情になる。かっこいいのに、ポカーンと開いた口がちょっぴりお間抜け。そんなえーたもかわいくて大好きだよ。
「えーた、おはよ」
「お、おはよう…。髪、切ったんだ?」
「ん…さぁちゃん、が」
「そっか。似合ってるよ」
えーたはそう笑って、頭を撫でてくれた。


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -